「ねーねー、かがみかがみー」
「どうしたのよ、カバンなんか持ち出してきて」
お昼休みの教室。お昼ごはんを食べ終わると、こなたはカバンを持ってこっちにやってきた。
「んにゃー、ちょっといいことを思いつきまして」
「あんたのいいことって、あんまりいい印象無いんだけど……」
「まあまあ、そんなつれないこと言わないで。夏休みあたり、旅行なんてどうかなって思って」
そう言うと、こなたはサイコロの形……いや、サイコロそのもののキャラメルを取り出した。
「何よ、それ」
「これを使って、旅行先を決めてみたら面白そうだと思ったのだよ」
「まさか、桃鉄の影響でも受けたっての?」
確か、CSの旅チャンネルあたりでも似たようなことやってたわね。
「ううん。そーじゃなくて、あらかじめ1から6で行き先を決めておいて、サイコロが出た目と
同じ数のところに行くのだよー」
「へえ、あんたにしちゃ面白いこと考えるじゃない」
いつも漫画やアニメのネタを持ってくると思ったけど、今日は違ったんだ。
「アニメ見てたら野球で押してて、かわりに録画してたバラエティーでそんなことやっててさ。
たまにはこういうのもいいかなーと思ったのですよ」
「って、結局はアニメ絡みかい!」
「いやいや、だからフツーのローカルバラエティーだってばー」
それでも、こいつがアウトドアがらみのネタを出してくるのは珍しい。まあ、夏休み中
キッチリ勉強だけっていうのも嫌だし……たまには、いいかもね。
「で、行き先とかは決めてるの?」
「うん。まあ、これを見てくれたまへー」
そう言いながら、こなたはカバンの中からノート大の厚紙を取り出した。
「1『青森で温泉またーり・ノクターン号』、2『仙台で即売会に参加・ナイトライナー』、
3『名古屋で登山・ニュードリーム名古屋号』、4『AIRの聖地巡礼・ドリーム和歌山号』、
5『讃岐うどんでもずずっと・ドリーム高松号』、6『福岡ドームで即売会・キング・オブ・
深夜バス・はかた号』……って何これ。不穏なことばっかり書いてるし、しかも見たこと無い
乗り物ばっかりだし!」
「ふっふっふっ……かがみー、1と3と5はちゃんとした観光だし、世の中には深夜バス
という便利なものがあるのだよ」
「ま、まさかバスの中で寝て行くっていうの?!」
「時間とお金は有効に使わないとねー」
余裕そうにこなたは言うけど、私は違う。私もつかさも、夜はぐっすり静かに寝たいっていうのにー!
「それじゃ、最初の行き先をー」
「って、何いきなり決めてんのよっ!! そして何サイコロ手にしてるのよっ!!」
「何が出るかな♪ 何が出るかな♪ それはサイコロまかせよっ♪」
こなたが机の周りをぐるぐる飛び跳ねて、サイコロを上下に振って……って、何の儀式よコレは。
「とおーっ!!」
そして、こなたが力強くサイコロを手放した……って、おぉいっ!!
「6! キング・オブ・深夜バスはかた号! 13時間深夜バスの旅で決定ー!」
「ああああああああああああっ、なんでよりによって最悪な目がぁぁぁっ!!」
あまりもの現実にパニックになりかかってると、こなたががしっと私の肩をつかんだ。
「さーかがみくぅん? 僕はどんどんこれからおみまいしていくぞぉ?」
「こっ……この、ダメ人間っ!!」
悪魔のように目を輝かせるこなたに、私はただそう言うことしか出来なかった……とほほ……