好きな人の名前は……?

novel

好きな人の名前は……?

from "らき☆すた - Lucky☆Star -"

Written by Kazuki Takatori



「きょうちゃんとかかがみ様とか、ホントにあんたはいろんな呼び方するわね」
 放課後、みゆきさんの委員会が終わるのを待ってると、かがみがげっそりした顔で言ってきた。
「ああ、言っとくけど『きょうちゃん』はつかさの発案だからね?」
「……ホントなの? つかさ」
「ふぇぇっ?! あ、あれは話の流れで思わず言っちゃっただけで!」
 ありゃりゃ、やっぱり身近な人でもかがみの眼光にはひるむんですなー。
「まあ、つかさらしいといえばつかさらしいか。問題は、それを実行に移したこなたのほうだろうし」
「ちょ、きょ、共犯者は無罪デスカ!」
「つかさはあくまでも教唆。実行をするのもしないのもあんた次第のはずなのに、あんたってば思いつきですーぐ実行するんだから。ちょっぴりオシオキしてみようかしら」
「んがっ?!」
 そう言うと、かがみは私のほっぺたをぐにゅぐにゅといじくりまわしてきた。
「ひょっ、ひょっほー!」
「あらあら、よく伸びること。それにやわらかいわー」
「ううっ、嬉しいよーなフクザツなよーな……」
「うりうりうりうり」
 この柔らかさが、もーちょっと私のムネにあればいいんだけど……まあ、かがみがいじくってくれてるならいいか。やさしくしてくれてるし、楽しそうだし。
「しかし、呼び名かー。つかさは『つかさ』しか思い浮かばないし、こなたもつかさが言う『こなちゃん』ぐらいしか思い浮かばないし。そう考えると、つかさってばホントに
こういうのがよく思いつくわね」
「うーん、なんとなく……こう、雰囲気っていうのかな? そんな感じの呼び方がいいかなって思って」
「確かに『こなちゃん』ってのはちんまりとした感じがするし、みゆきの『ゆきちゃん』っていうのは清楚って感じがするものね」
「そ、そーゆーわけじゃ」
「失敬だなー」
 人のほっぺた弄りながら言うセリフかね、それ。
「だったら、こなたの呼び名を考えて呼んでみよっか? 私にしたように」
「ふぇ?」
 な、なんでいきなりそういう流れになるのカナ? って思ったけど、かがみがまたほっぺたをぎゅーぎゅーしてきてしゃべれないっ?!
「例えば『こーちゃん』とか」
「むー」
 それはあまりにも平凡すぎやしませんか。
「それじゃ『なたちゃん』とか」
「むーむー」
 そんな先っぽが突き出た鉈を笑顔で振り回してるような名前はヤです。
「ダメ? じゃあ『こたちゃん』とか」
「むーむーむー」
 いくらムネのなりとかはこうでも、私はオンナノコなんだけどなー……
「わがままねー。だったら『たーちゃん』とか」
「むーむーむーむー!」
 アレが伸びるジャングルの王者みたいな名前はイヤだって!!
「そう? じゃあ名字のほうからとって『ズミちゃん』とか」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?!??!?!?!」
 そんな某文化放送で頭頂部だけ髪を残してアンテナ状に固めてたアナのよーな名前だけはっ! それだけはっ!!
「わ、わかったってば。いつもの呼び名のほうがいいのね?」
「う、うみゅ〜」
 ぷはっ、ようやくかがみの指から解放された……というか、かがみんってば精神的にじわじわ責めてくるんですな。
「あんたも、ちょっとはいじられる気分がわかったでしょ?」
「ううっ、できるだけ自重します……たぶん、おそらく、きっと」
「って、やる気まんまんじゃない」
 ふっふっふっ、かがみにはこういう反応があるからやめられんのですヨ。
「とりあえず、いつも通り『かがみ』って呼んでくれたほうがいいわ。『こなた』もそうでしょ?」
「確かに、改めて言われるとそーだね」
 なんとゆーか、いつも呼ばれ慣れてるほうが心にじんわりと来るとゆーか、そんな気分。
「んじゃ、いつも『かがみん』って呼んでるように、私も『こなたん』って呼んでくれる?」
「自重するって言ったのはどこのどいつよ! ……もうっ、いつもの呼び名のほうが好きって言ってるのに……」
「ううっ、かがみんのけちんぼー」
 って、最後に何かつぶやいてたみたいだけど、気のせい……で、いいのかな?
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