『今日は遅かったのね』
『んー、新しい制服とかの合わせがあって、ついでに古い制服をもらってきたんだ』
バイトが終わって、ごはんを食べ終わったら部屋のパソコンをスイッチオン。立ち上がればすぐに、お母さんが画面の端っこから出てきて私をお出迎え。それが、私の最近の楽しみだったりする。
『制服……そういえばこなたは『めいどかふぇ』に勤めてるんだったっけ?』
勤めてからもう1年以上経って、そろそろお客さんも飽きる頃だからってことらしい。そこそこ固定のお客さんも居ついてきたし、まだいいかなーと私は思ったんだけどね。
『そ。よかったら見てみる?』
『そうね、たまにはこなたのお仕事姿を見てみたいな』
『おっけー。それじゃ、ちょっと待っててね』
……それが、まさか狂宴の始まりだとは夢にも思わなかったわけで。
その9・へんしん
Written by Kazuki Takatori
『くふふ、どーかな? お母さん』
濃い紺色のメイド服を着て、モニターの前でくるりと回転してみる。もちろん、白いカチューシャとエプロンも忘れちゃいけない。
『わぁ……清楚な感じがして、少し大人っぽく見えるわね』
『そう? そう言ってもらえると嬉しいなー』
まさか、こうやってお母さんに働いてるときの姿を見てもらえるなんて。最近は嬉しいことばかりだよ。
『私も、そういうのを着てみたかったなぁ……』
『んー、だったら着替えてみる?』
『えっ?』
私はそう言って、頭の中に思いついたゲームのタイトルをぐぐってみた。……うん、これこれ。このキャラ。
『『夜明け前より瑠璃色な』……こ、これってえっちなゲーム?』
『ううん、プレステ2でも出てるやつ。んで、お母さん、この間アトランチスの謎のカッコをしたときみたいに着替えてみなよ』
ああいう格好が出来るなら、既存のゲームの格好なら楽チンかなーと思ったわけですよ。
『うーん……や、やってみるけど、ちょっと待っててね』
そう言うと、お母さんはのミアの衣装をじーっと見たあと、ブラウザの後ろにてけてけと隠れていった。
そして、3分ぐらい経ったころ、ひょっこり現れたお母さんの姿は……
『ど、どうかしら?』
『お、おー?!』
それはもう、とにかくちっこいメイドさんで……まるでマスコットみたいにかわいい。
『お母さん、かわいい! すっごくかわいいよー!』
『そ、そう? そう言ってくれると嬉しいわ』
いやー、コレ反則すぎっす! カンタンにこんな着替えが出来るなんて! とゆーか、3頭身のおかーさんが画面の中であんな衣装やこんな衣装だって可能なわけで……あ、やばい、妄想が……
……ぷちんっ。
『ふっふっふっふっ』
『こ……こなた?』
『じゃーおかーさん、どんどん着替えてみよーかぁ。マブラヴにSHUFFLEにRoutesにぱすちゃCにいたじゃんRにIZUMOにもし明日にこんにゃくに果て青になないろにANGEL TYPEに幻のアリスクリムゾンに』
『ちょ、こ、こなた、18歳未満はだめーってマークがあるんだけどっ?! とゆーかソフトも?!』
『気にしなーい気にしなーい! それじゃおかーさん、まずはコレからいってみよーかぁ!』
『い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
――一晩中ムハムハしてやった。今はDドライブをフォーマットされて反省している。