結局、パソコンの中のエロゲは全部処分されちゃったよ……うう、全年齢版のゲームもどさくさ紛れにアンインストールされちゃってるし。まあ、今はそれはそれとして……
『じーっ……』
どう、お母さんとコミュニケーションすればいいんだろう。
その3・ぴこぴこ
Written by Kazuki Takatori
お母さんはゲームを捨て終わると、タスクバーの上にちょこんと座って私のことを見てた。
なんとか会話したいと思ってメッセージが出てくるメモ帳をいじってみたけど、私が何か打ち込んでもすぐお母さんの言葉に上書きされて消えていく。
言葉は確かにそういうものだけど、こうやってパソコンの中にいるんだし……やっぱり、お母さんと会話してることを残しておきたい。
『ちょっと待ってね。今ちゃんと会話できるソフトを探すから』
『ごめんなさい、こんな形でおじゃましちゃったから…』
こうやって会話できるだけでも貴重なんだし、とにかくいろんなアプリを立ち上げてみよう。
私はインストールしてあるネット用のソフトを片っ端から起動してみた。
「ICQ」はもうアカウントが消されてて「MSN」「ヤフメ」は使えるのがメンバーだけ。「AirCraft」はもうNifty-Serveが終了しちゃったから使えないし……えーい、全部ダメか。
何か探すしかないかと思いながら、IEを起動して「お気に入り」をクリックする。
確か、このあたりにチャット用ソフトのまとめを入れてたよーな? って、違うか……ん? このフォルダはエロゲ関係の!
『《H○○k》《b○nbee》《Circ○s》《きみ○る》《ぶ○ばん》……このあたりにあるのね?』
あ、おかーさん! ダメ! それダメ! 読み進めちゃだめ!! ……あ、開いちゃった。
『はうっ?!』
エロゲのそーゆーシーンが目の前でデカデカと映っちゃったら、そりゃ倒れるよね……
『こ、これは……おしおきですねー』
「お、おかーさん?」
お母さんはにっこり笑うと、ポンッという効果音と一緒に背よりも高いピコピコハンマーを出して、両手でそれを握りしめた。
すっごいヤな予感がしてきたけど、お母さんはひょこひょこと開いたままのお気に入りを昇っていって……って、ナニ振りかぶってるんですか、その巨大ピコハン。
『せーのっ』
「ちょ、ちょっと待って! それは! 新作のチェックがー!!」
ハンマーがお気に入りのメーカー名の横を引っぱたくと『ぴこんっ』っていう音と一緒に、その部分がダルマ落としみたいにすっ飛んでいった。
「あーーーーーーーーーっ!!!!」
ごみ箱にホールインワンしてるし……うぉ、ご丁寧に完全削除まで?!
『こうなったら、徹底的にお掃除しますよー』
「自業自得だってわかってるけど、それだけは、それだけはご勘弁をー!」
画面をぱしぱし叩いても無駄みたいで、拷問みたいなダルマ落としはそのフォルダの中が全部綺麗さっぱり消えるまで続けられた。
うー、そこまで徹底しなくたっていーじゃん!!