| | novel

● てけてけかなたさん --- その10・おーるいんわんだー ●

『うんしょ、うんしょ』
 今日も相変わらず、お母さんがPCの中でお掃除中。とはいってもエロゲの削除じゃなく、デフラグを立ち上げてまとまったクラスタを空いたところに持ち運んでくれている。
『お母さん、結構大変じゃない?』
『そうでもないわよ。お掃除は大好きだもの』
 まあ、普段からHDDの中身をよく掃除してくれるからね……でも、この中にいるとあんま娯楽とかないだろーし、それくらいしかやることって無いのかもしれない。
 うーん、ここはお父さんが使わなくなったパーツを再利用してみますか。



てけてけかなたさん

その10・おーるいんわんだー

Written by Kazuki Takatori



 再起動、再起動っと……よし、ダイアログが出てきたね。
『?』
 お母さんはというと、画面の隅っこでそのダイアログを不思議そうに眺めていた。
『何かゲームでもインストールするの?』
『あー、そうじゃなくて、新しいハードを入れてみたんだよ』
 そう言って、DVDドライブにドライバの入ったCDを入れてトレイを閉じる。
『すまーとびじょん……?』
『テレビが見られるようになるハードとソフトだよ。お母さん、その中であんま楽しみないだろうし、お掃除ばっかりってのもなんだからって思ってね』
『最近はそういうのもあるのね。ありがとう、こなた』
『いえいえー』
 せっかくこっちに来てるんだからこういう楽しみも無くっちゃ。
『よし、インストール完了で、起動っと……うん、映ったよ』
『ほんと、ちゃんと動いてるわね』
 ちゃかちゃかとクリックしていくと、テレ玉の「関口さんI」が映った。うんうん、キレイに映ってる。
『私がいないときは、自由に使っていいよ。録画も出来るからねー』
『うんっ』
 お母さんは目をきらきらさせると、隅っこに座って楽しそうに画面を見始めた……って、一体どこから煎餅とお茶を取り出してきたんですか。でもまあ、お母さんが楽しいからそれでいっか。

*     *     *


 それから二日後、新しく出たネトゲをDLした私はわくわくしながらPCに向かっていた。
『お母さん、ちょっといいかな? 新しく買ったゲームを入れたいんだけど……あ、エロゲじゃないよ』
『うーん、それならいいわよ。ちょっと待っててね、今ソフトを終わらせるから』
 そう言って、お母さんはスマートビジョンのソフトを終了させた。なんだかんだ言っても、お母さんもこういうゲームには興味があるみたいやね。
「それじゃあインストール……って、あ、あれ?」
 こないだフォーマットされたドライブに入れようとしたんだけど「空き容量が足りません」って出てきて弾かれる。おかしいなー、さっき見たら80ギガあったはずなのに。
 インストール画面を終わらせて、エクスプローラーを立ち上げて……うん、80あるよ……ねぇ?!
『ちょ、ちょっとお母さん?! なんで80"キロ"バイトしかないの?!』
 メガ飛び越してキロですヨ?! そんなんありえないって!
『ご、ごめんなさい。一昨日からついつい録りすぎちゃって……てへっ』
 て、てへっじゃないってば……まったくもー、お母さんったら。
 でも、しばらくはそのままでもいいやってことで、ゲームはCドライブにインストールすることにした。
 お母さんといつサヨナラしちゃうかわからないし……いっぱい、楽しい思い出を持ち帰ってもらいたいからね。
『それにしても、なんでキテレツとかうる星とかベルばらとかラスカルとかキャッツアイとか……』
『だって懐かしかったんだもの』
 いや、それでも最高解像度で録画ってのはどうかと思うんだ、私は。
| | novel
Copyright (c) 2008 Kazuki Takatori All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-