野生の記憶
Written by Kazuki Takatori
「ねえねえ」
つんつんつんって、祐一のほっぺたをつついてみる。
「くー」
けど、祐一はあいかわらず眠ってる。
ほんと、しあわせそうな寝顔なんだから……って、そうじゃなくて!
「あぅ〜っ、祐一おきなよ〜!」
あたしは祐一の体をゆっさゆっさ揺らしてみたけど、祐一は起きてくれそうもない。
「祐一ってばぁ、祐一がおきなきゃ名雪も起きないんだよ〜!」
「真琴ぉ、もうお腹一杯だぞぉ……くー」
「寝言はいいから、起きるのっ!」
こんどはほっぺたをぐにゃぐにゃつねって、そのままたてよこにのばしてみる……でも、祐一の寝顔はしあわせそうなままだよぅ。
「あうーっ、遅刻、遅刻だってばぁ!」
「ほにゃふぇいや〜」
「わ、わけわからないこと言ってるんじゃないわよっ!」
もう一回からだをゆすってみるけど……だめだぁ。
うーん……なにかいい方法ないかなぁ。
……ま、まさか、妖狐のときみたいにほっぺた「ぺろっ」じゃ、はずかしいし……それに、キスも「さいしゅうへいき」だし……
だ、だって、祐一ってえっちだから、そのまま……あうーっ。
妖狐のとき、妖狐のとき……うん?
……あっ、いい方法があったぁ!
祐一、あたしがああやってたら起きてたもんねっ。
祐一をもう一度あおむけにさせて、あたしドアのほうにかけよった。
そのまま、祐一のほうをじっと見てみる……ふふふっ、まだまだぐっすり寝てるわねっ。でも、もうすぐお目覚めよっ!
「いっちにっ、いっちにっ!」
あしぶみ、あしぶみ〜♪
「いちばんっ、沢渡真琴、いっきまーすっ!」
走って走って……じゃーんぷっ!
目の下には祐一っ! そのまま……っ!
「どっすーんっ!」
ひざからねらってついらーくっ!
ごぎゅっ!
あれ? なんか、あたしのひざのあたりがやわらかい……
「ぐっ……
ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!!!」
あ、あれ?
な、なんか、おまたおさえてごろごろころがってるし。
「ゆ、ゆーいちぃ?」
あたしは、祐一のおさえてるおまたをさわってみた。
ぐいっ
「んぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あう〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
* * *
「祐一っ、祐一〜」
あうぅ、ドアをがりがりひっかいてもダメだよぅ……
カギがかけられてるドアを、あたしはたたいたりひっかいたりしてみた。
祐一は学校をおやすみして、ドアに貼り紙したまま中から出てこないし……
それに……なによぅ、この貼り紙。
『さわたりまことたちいりきんし』ってぇ!
せっかく起こしてあげようと思ったのに……
「祐一っ、中に入れてよぅ!」
「誰がお前なんか入れるかぁ!」
「ふんだっ、もう祐一なんて起こしてあげないもん」
「おまえの目覚ましは危険すぎるから、もう入れてやらないっ!」
「あう〜っ!」
祐一の、祐一のばかぁぁぁぁっ!!
でも……
あとで、秋子おかあさんにも怒られちゃった。
どうしてだろ……?
「子供ができなくなっちゃいますよ」って。
[ 終わり ]