「だから……」
「約束、だよ」
「キミと、ボクとの約束」
「ボクの、願いは……」
きっと、ずっと
Written by Kazuki Takatori
…………
あったかい……
おひさまのにおいがして……
風が気持ちよくて……
…………
草の香りがして……
……ずっと昔から、ここにいたみたいに。
なんだか、すごくなつかしい。
さらさらって、草の音。
揺れる草が、あたしの頬をくすぐってくる。
…………
だけど……
ここは、どこ?
「んっ……!」
目を開けたとたん、眩しい光があたしの目に飛び込んできた。
急いで手をかざして、あたしは光をさえぎる。
だんだん目が慣れてくると……木漏れ日がきらきらと、あたしの顔を照らしてるのがわかった。
大きな木の下で、あたしは眠っていたんだ。
でも……どうしてこんなところで寝てるんだろう。
どうして、こんなところにいるんだろ……
どうして……
…………
「あ〜っ、わからないよぅ!」
「うにゃ〜」
「わっ!」
突然、あたしの横から猫の鳴き声がした。
しかも、聞き覚えのある声。
起きあがって、声のしたほうを見てみると……
「ぴ、ぴろ!」
「うにゃ」
あたしの大好きな猫――ぴろが、腕にすり寄ってうにゃうにゃ鳴いていた。
「ぴろ、どっか行ったんじゃなかったの?」
「にゃん」
あたしの言葉に、ぴろはしっぽを振って手を舐めてきた。
「あうー、くすぐったいよぅ」
でも、嫌じゃない。
ぴろとは、いつもこうやってたりしてたもんね。
いつも……
そういえば……
あたしはゆっくり立ち上がって、木陰の中から出た。
「あうっ」
ちょっと、足がふらふらする。
自分の足じゃないみたいに、がくがくして……
だけど、あたしは構わないで草原の中に立った。
そして、あたりを見回してみると、
「あっ」
あの丘だった。
あいつとおしゃべりして、ぴろとおしゃべりして、それに……
…………
そっか。
あたしは、ここでずっと眠ってたんだ……
あいつに連れてきてもらって、
いっしょに肉まんを食べて、
あいつが……
あいつが、結婚しようって言ってくれて、
ベールをかぶせてくれて、
鈴でいっしょに遊んで……
……そのあとからの記憶が、まったくない。
だって、だってあたしは……
あいつと、さよならしたはずなのに……
そのことを思い出しただけで、いろんな記憶があたしの頭の中に流れ込んできた。
ついさっきのはずの出来事から、ずっと、ずっと昔――あたしが、ここで妖狐として生まれたときのことまで。
今までのことが全部……はっきりと。
あたしが「見返り」として差し出したはずの記憶が、全部元に戻ってた。
あたしは、ここで妖狐として生まれた。
あたしは、ここで他のみんなと遊び回っていた。
あたしは、ここで祐一と出会った。
あたしは、ここで祐一と遊び回っていた。
あたしは、ここで祐一と別れた。
あたしは、ここで願いを叶えた。
あたしは、ここで祐一と結ばれた。
あたしは、ここで祐一と結婚した。
そして……
また、祐一とさよならした。
そう。
さよならしたはずだった。
もう、二度と会えないはずだった。
「……あう」
それを思い出しただけで、涙がにじんできた。
あたしが消えるとき……ずっと抱きしめてくれた祐一の顔を思い出して。
ここは、あたしが生まれた場所。
そして、旅立ったはずの場所。
死んでもいい、記憶が無くてもいい……
ただ一目、あいつに会えればいい。
そう思って、あたしは少しの間だけ人間になったはずなのに。
本当は、もう目が覚めることなんてなかったのに。
だけど、今……また、ここに戻ってきちゃった。
どうして、戻って来れたんだろう。
「あう〜」
「うにゃあっ」
「きゃっ!」
あたしが首を傾げると、ぴろが突然あたしの頭の上に乗っかってきた。
「そっかあ。ここって、ぴろの場所だもんねっ」
「うなぁ」
言葉にこたえるようにして、ぴろがまた鳴く。
……ま、いっか!
とにかく、祐一たちのところに行こう。
また会いたいもん……みんなに。
大好きな、あの人たちのところへ。
だけど、その前にっと。
丘を降りようとしたあたしだったけど、途中で立ち止まって、くるっと振り向いた。
あたしが昔いた、あのほら穴に。
「……行ってくるねっ!」
あたしの生まれた場所。
また、ここから旅立っていくんだもんね。
だから、挨拶しなきゃ。
秋子さんが教えてくれたみたいに。
あたしが叫ぶと、まるで返事みたいな優しい風が吹いた。
あたたかくて、とってもきもちいい。
「ぴろ、行こっ!」
「うにゃっ!」
「わぁっ!」
あたしが走ろうとしたとたん、ぴろがあたしの髪にぶらぶらとぶら下がり出した。
「ど、どうしたの? ぴろってば」
「な〜」
ぴろはそう鳴くと、街とは反対側……広い藪のところに走っていった。
あたしもそっちのほうに走っていくけど、その藪にあたしが入ることはできなさそうだった。
「にゃあ〜」
と、藪の中に飛び込むぴろ。
「ま、待ってよう!」
追いかけようとしたけど、やっぱり藪の中には入ることが出来ない。
ぴろ、またどっか行っちゃうの……?
「ぴろ〜っ!」
だけど、返事はない。
「ぴろ〜〜っ!」
やだよう、ぴろがいなくなるの……
どんどん、がさごそって音が遠ざかっていく。
だけど、あたしにはどうすることもできない……
「……あう?」
ふと、がさごそって音が止まる。
そして、
「うん?」
また、がさごそって音が、こっちのほうにやってくる。
「ぴろ?」
ぴょんって、藪の中から出てきたぴろ。
「うにゃあ」
そう鳴いたとき、ぴろの口にくわえられていたものが、草むらに落ちた。
それは、
「あーーーっ!」
ちょっと汚れているけど、一目ですぐに分かった。
祐一がくれた、あたしのベール……
祐一がかぶせてくれてすぐに、飛ばされたベール。
「よかったぁ、あったんだぁ」
あたしはそれを手にとって、ぎゅっと抱きしめた。
あたしと祐一の、結婚のあかし。
それがまた、戻ってきたんだ……
「にゃっ」
また、あたしの頭に乗っかるぴろ。
「えへへっ、ありがと。ぴろ!」
返事のかわりなのか、ぴろはあたしの頭をぽんっと叩いた。
「じゃあ……行こうっ!」
「うにゃ!」
ぴろをのっけたまま、あたしは街のほうへ走り出した。
あの人たちのいる、あの街に。
さっきまでふらついていた足も、だんだん慣れてきた。
途中で何度か転んじゃったけど、そんなの構ってられない。
だって、みんなに会えるんだもんっ!
うれしいんだもん。また、みんなに会えるのが。
もちろん、大好きな祐一にも。
まずは……そうだっ、あいつを驚かそう!
あの時と同じみたいに、突然襲ってやるんだっ!
「ふっふっふっ、見てなさいよぅっ!」
あたしはそう叫んで、もっと速く走ろうとした。
こけっ☆
あ、あれ?
突然、あたしの体が浮いて……
どてっ!
「あうっ!?」
ごろごろごろごろごろごろごろごろっ!
「あぅあぅあぅあぅあぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
こ、転がるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
どしんっ!
「……あうー」
なんか……前読んだマンガみたい……
ううっ、泥だらけだよぅ……
ま、まあ、こんなことでくじけてられないわよねっ。
あたしは立ち上がって、体についちゃった泥を払った。
なんとか泥を払い終わって、あたしはまたあの場所へと走り出した。
祐一と最後に行った場所に、早く行こう!
*
制服を着た人たちが、あたしの目の前を通り過ぎていく。
時々あたしのことを見る人もいるけど、その中にあいつの姿はない。
あう〜、まだ授業なのかなぁ。
校門の柱に寄りかかりながら、あたしはそんなことを考えていた。
せっかく会いに来たのにぃ……
だけど、あのときみたいな寒さもないし、ここでずっと待ってるのも気持ちいいかな。
風もあたたかいし、お日さまもぽかぽかだもん。
あの時は、寒くて手もしびれちゃっていたしね。
あいつを探していたときも、ずーっと寒くて……
「やっと見つけた……」
その時の言葉を、呟いてみる。
あいつ、わけわからないみたいな顔をしていたっけ。今思うと、なんか愉快だよね。
だって、あたしもあいつもお互いのことがわからなかったんだもん。
今なら全部わかるけど、あのときもわかっていたかったなぁ。だから、今日はもう一回、ちゃんと言ってやるんだっ!
考えただけでも、なんかうれしくなっちゃう。
あーあ、早く来ないかなぁ。
「うにゃっ」
「うん?」
頭に乗っかっていたぴろが、突然地面に飛び降りて走っていっちゃった。
「あっ、ぴろ〜」
あたしは追っかけようと思って、学校の中に入っていった。
と、ぴろが一人の女の人の前に止まった。
「ぴろ〜」
あたしは手を伸ばして、ぴろのことを抱き上げた。
「うなぁ」
だけど、ぴろはあたしのことを見ないで、その女の人のことを見ている。
「あっ……」
「うん?」
声に気付いて、あたしもその人のことを見た。
その人は、こっちの方を見て驚いた表情をしていた。
ショートカットの女の人。
たしか、どこかで会ったことがあるはず……
「まこ……と……?」
「?」
聞き覚えのある声。
その人は、あたしのほうに歩いてきて、
「あうっ」
ぽんっと、頭の上に手のひらを置いて、そして……優しくなでてくれた。
「真琴」
「あっ」
あたしが……
「天野……えっと……」
あたしが、「最後」に「初めて」出会った人……
「天野……天野、美汐です」
そう言って、あたしのことを抱き寄せてくれた。
「お名前は?」
「あうっ、真琴……沢渡真琴」
あの時全部言えなかった名前……やっと言えた。
「沢渡真琴……いい名前ですね」
「うんっ」
また、頭をなでてくれる。
「帰って……きたんですね」
「うんっ!」
覚えてる。
あたしがどんどん弱っていったとき。
美汐はあたしのことを優しくなでてくれた。
名前が、ちょっとだけ言えたあたしのことを。
うん……よく覚えてるよ……
「相沢さんのために?」
「なっ……!」
あたしは後ろに飛び退いて、反論しようと美汐のことをにらみ付けた。
「なっ、何言ってるのよ! こ、このあたしがそんなわけないでしょ!?」
「だって、それ」
「……!」
美汐は、あたしが手にしていたベールを指さした。
あう……どこかに隠しておけばよかったぁ。
「これは、祐一のところに返しに行くだけだもん」
嘘はついてないもんねっ。
「それだけ?」
「……あう〜」
な、なんか自滅してるみたい……
「相沢さんとの、大事な物なんでしょう?」
「えっ……どうして、知ってるの?」
「ふふっ、どうしてですかね」
あう、なんか、いじわるな笑顔……
「祐一が、美汐に教えたの?」
「そういうところです」
今度は、優しい声。
なんだか、ほっとする声だなぁ。
「真琴は、相沢さんたちに会いに来たんでしょう?」
「えっ、うん」
別に、もう意地を張ったってしょうがないもんね。
美汐は、あたしと祐一のことを知ってるみたいだし。
「ここで待っていれば、祐一も名雪も来ると思って」
「……残念ですね。今日は進路相談会で、相沢さんも水瀬先輩も先に帰ってしまっているはずですよ」
「シンロソウダン?」
あう……聞いたことのない言葉。
「相沢さんたちの将来を決めるための、大事なことです。だから、三年生の人たちは先に帰ったんですよ」
「あっ、祐一たち、三年生になれたの?」
「なれましたよ。水瀬先輩はともかく、相沢さんは留年ぎりぎりでしたけどね」
「留年……」
「真琴がいなくなってから……しばらくの間、気が抜けていましたから」
「あう……」
「ですけど、相沢さんはそれを乗り越えました。
真琴は心の中にずっと生きていると言って……」
「真琴が、心の中に?」
「そうです」
「あうぅ」
な、なんかうれしいけど、恥ずかしいよぅ。
「ですから、真琴が帰ってきたことを知ったら、とても嬉しがるでしょうね」
「真琴も、祐一に会えるのうれしいよっ」
だって、また祐一のそばにいられるんだもんねっ!
「けど……そっか、三年生なんだぁ」
そんなに時間が経っちゃったんだぁ……
なんか、残念。
「これから、相沢さんの家に行くんですか?」
「うんっ」
「私が、一緒に行ってあげましょうか?」
「ううんっ、大丈夫。あたし一人で行けるわよ」
張り切って、そう言ったとき……
ぐうぅうぅぅぅうぅぅぅぅぅ……
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
なっ……
なんでこんな時にお腹が鳴るのよぉぉぉぉ!
「お腹、すいてるんですね?」
あう……美汐ってば、笑ってるし。
そう言われて、あたしはただうなずくことしかできなかった。
*
「はぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐ」
「…………」
「ごくごくごくごく」
「…………」
「はぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐはぐ」
「…………」
「ごくごくごくごく」
「…………」
がさがさ……
あ、あれっ?
「あうぅ」
ああっ、肉まんおしまい……
横で、ぴろが食べてる肉まんが最後になっちゃった。
「ごちそうさま、は?」
「あう、ごちそうさまぁ」
あたしは烏龍茶の缶を置いて、ため息混じりにそう言った。
美汐は、そんなあたしを見て少しだけ笑っている。
あたしたちは商店街の横道で、座って肉まんを食べていた。
とは言っても、食べてるのはあたしとぴろだけだけどね。
「ありがとっ、美汐」
「この時期ですから、肉まんを探すの大変でしたよ」
「そうなの?」
「もう春ですし。もしかしたら、これが最後かもしれませんね」
「あぅ〜、それは嫌」
大好物が食べられなくなるなんて、悲しいよぅ……
あれっ?
「そういえば、どうして美汐は真琴が肉まん好きだって知ってるの?」
あたしと会ったのは、名前を言ったときと、祐一に丘へ連れていってもらう前だけのはずなのに。
「相沢さんから、あなたのことは聞いていましたから」
「祐一から?」
「ええ。真琴がいなくなってからしばらくして……相沢さんが、私にあなたのことをいろいろ話してくれましたから。
まるで、懐かしそうに……時々『あいつは家族だから』と言って笑っていました」
「そうなんだ……」
『ずっと、いっしょにいられるようにな』
『今日から俺たちは、本当の家族なんだからな』
『ずっと、いっしょにいような』
あいつ、あたしのこと……本当に、そう思い続けてくれてたんだね……
「それは、水瀬先輩と叔母様も同じです。
だって、真琴は水瀬家の一員なんですから」
「水瀬家の……一員……」
『じゃ、おいしい晩ご飯、作って待ってるわね』
あたしのいたずらを笑って見てくれた。
最後まで、あたしを待っていてくれた秋子さん……
『ね、真琴っ、一緒に撮ろうよっ』
何を考えてるかよくわからなかった人。
だけど、いっしょにプリクラを撮ろうって言ってくれた名雪……
「どうしました?」
「えっ、ううん。ただ……みんなのことを思い出していただけ」
「そうですか」
あたしの頭を優しくなでてくれながら、美汐が言った。
「ねえ……」
「はい?」
「あたし……あの家に帰ってもいいんだよね?」
「どうして、そういうことを言うんです?」
「真琴がずっといなくて……今帰って、邪魔じゃないかなぁと思って……」
そう言うと、美汐はなでていた手を止めて、そっと下ろした。
そして、あたしのことをじっと見つめる。
「どうして、そう思うんですか?」
「真琴、いっぱいいっぱい迷惑かけてたし……」
「それでも、真琴は相沢さんたちのところへ帰りたいんでしょう?」
「……うん」
「なら、それは関係ないと思います。真琴が帰りたいなら、それで」
「だけど、もしも迷惑をかけたりしたら……」
あたしがそう言うと、美汐か少しためいきをついた。
「今更そう言って、どうするんですか?」
「だって……だって真琴……」
あたしは、そう言って口をつぐんだ。
あたしは、妖狐。
でも、人々はそのことをほとんど知らないはず。
だって、あたしたちは「人」になって会いに来てるんだから。
だから……
「真琴が、妖狐だからですか?」
「……っ!」
どうして?
そう言おうとしたけど、声にならなかった。
ただ、美汐の顔を見上げることだけしか……
「みなさん、知ってますよ」
「え?」
「真琴が妖狐だっていうことは……それに、昔相沢さんが拾った狐が、真琴だということも、知っています」
「ど、どうして? あたし、記憶なかったし、何も言えなかったのに……それに、美汐がどうして真琴は妖狐だったって知っているの?」
あたしは、頭に浮かんだことを全部美汐にぶつけた。
しばらく何も言わなかった美汐は、顔を上げて空のほうを見た。
「私も……真琴と同じ、妖狐だった人と過ごしたことがありますから」
「…………」
あたしと、同じ……
「あなたと同じように私を慕って来て、そしてあなたと同じように、私の腕の中で消えていった……そういうことです」
悲しそうな横顔。
昔あったことを思い出してるみたいに。
あたしが祐一のことを思って、ものみの丘から空を見上げていたように……
「美汐も……なの?」
「昔のことですけどね」
そう言って、美汐はあたしのほうに向き直った。
そして、あたしのほっぺたに手をそえる。
「だけど、あなたは帰ってきた……妖狐の運命は、変えることができないはずなのに」
「…………」
「あなたは、他の妖狐の仲間達がどうして人間になったのかを知っているのでしょう?」
「うん……」
もちろん、知っている。
あたしは、祐一に……秋子さん、名雪にも会いたかったから。
他の仲間たちも、みんなそうだった。
みんな、好きだった人たちのところに行って……
「私は、あなたがどうして戻ってこれたかはわかりません。
でも、相沢さんたちが好きなのなら……その気持ちに正直になることです。妖狐だったときと同じように」
「……うんっ」
「あなたは、幸せなんですよ。またあの人達と逢うことができるんですから」
「うんっ!」
あたしは、美汐に思いっきり笑顔で応えた。
美汐も、微笑んでくれている。
「そうだよねっ」
あたしはベンチからばっと立ち上がると、
「美汐、祐一の家に行こっ!」
「あ、真琴っ」
祐一たちのいる街のほうに走り出した。
だって、みんなに早く会いたいもん!
どんっ!
「きゃっ」
「わぁっ!!」
あう〜、いきなり誰かにぶつかっちゃったよぅ。
転んだあたしは、そのまましりもちをついちゃった。
「ううっ」
誰よ、いったいあたしにぶつかった奴は!
あたしは、ぶつかった奴を思いっきり見上げてやった。
って……えっ……?
「あらあら、大丈夫?」
長くて、まとめてある髪。
手からさげてる買い物袋。
それに……
それに、とっても優しい笑顔。
あたしが大好きな笑顔。
「ふふっ」
「あぅ……」
その人はちょっとかがみこむと、あたしの手をとって、ゆっくり立たせてくれた。
「気を付けないとだめよ? 真琴」
そう。
「秋子……さん……?」
あたしの「おかあさん」。
あたしの言葉に、秋子さんはまた微笑んでくれた。
やっぱり、秋子さんだ……
たまらなくなったあたしは、秋子さんの手をぎゅっと握った。
とっても、優しい人。
居候だったあたしを笑顔で迎えてくれて、いつも優しくしてくれた。
そして、今も微笑んでくれている。
「おかえりなさい」
秋子さんの笑顔が、なんだかぼやけて見えた。
どうして、涙が出てくるんだろ……
「ほら、真琴。
帰ってきたら、言うことがあるでしょう?」
その言葉に、あたしの目から涙が流れる。
「あっ、あう……うぐっ……」
「ほらっ」
そして、腕を広げてくれて……
「た……ただいまぁっ!」
たまらなくなったあたしは……秋子さんに、思いっきり抱きついた。
ちょっと泣いちゃってるけど、すっごくうれしくて……そんなこと、かまってられなかった。
「秋子さん……うぐっ、秋子さん……」
「ほらほら……泣かないの。せっかく帰ってきたんだから」
見上げると、秋子さんの目からも涙が出ていた。
「あぅ、秋子さんだって……」
「嬉しいから……涙が出るのよ」
「真琴もだもんっ……」
もう一度、秋子さんに抱きつく。
すると、秋子さんは優しくあたしのことをなでてくれた。
やっぱり、秋子さんは……あたしのおかあさんだ。
*
あったかい夕焼けに、あったかい手。
右手は、秋子おかあさん。
左手は、美汐。
あたしは二人といっしょに手を繋ぎながら、商店街からの帰り道を歩いていた。
ぴろは、あたしのちょっと前をトコトコ歩いてる。
二人をちょっと見上げると、秋子おかあさんも美汐も、にっこり笑ってくれる。
「あははっ」
あたしには、それがとてもうれしかった。
あの日、祐一と美汐に連れられて歩いた道……今は、逆に家に向かって歩いてる。
それに今日は、祐一じゃなくておかあさんさんが隣にいる。
ちょっと、おかあさんの手をぎゅっと握ってみる。
「どうしたの? 真琴」
「ううん、なんでもないの」
本当は、夢じゃないことを確かめたかっただけ。
今、おかあさんがそばにいるっていうのを、もう一度確かめたくて……
おかあさんは、笑顔であたしを見てくれている。
あたしが泣きやむのを待って、おかあさんは、またあたしの手を優しく繋いでくれた。
おかあさんがやってきたのは、美汐がおかあさんに電話したからだって。
美汐は「何も聞かずに呼んで、ごめんなさい」って言ってたけど、逆にうれしかったあたしは、笑って「ありがとっ!」って美汐に言った。
それから、美汐といっしょにお買い物に行くことになったんだ。
初めておかあさんと美汐とで買い物したけど、とっても楽しかった。
だって、肉まん買ってくれたり……じゃなくて! 二人とも、とっても優しいんだもん。
「いっしょに手を繋いでいきましょうね」って言ってくれたのもそう。
まるで、本当に家族になれたみたいで……
「天野さんも、夕ご飯食べていきますか?」
「あ、いえ……家族水入らずがよろしいでしょうし」
ちょっと困ってるみたいな美汐だけど……えーいっ、もっと困らせちゃえ!
「えっ……!?」
あたしはおかあさんの手を離して、美汐の腕にぎゅっと抱き付いた。
「ダメだよ〜、美汐もいっしょにご飯食べようよっ!」
「で、でも」
「賑やかなほうが、楽しいですから」
おかあさんもそう言ってることだし。
「だから、ね?」
美汐の目を見つめると、美汐はため息をついて、
「そうですね……よろしいでしょうか?」
「もちろんですよ」
美汐が聞くと、おかあさんがうなずいた。
「それでは、よろしくお願いいたします」
「やったぁ、美汐もいっしょ〜!」
すっごくうれしくて、あたしはそこらじゅうを飛び跳ねた。
って、あう〜、妖狐のときといっしょみたい。
だけど、別にいいよね。
「本当、真琴は天野さんのことが好きなのね」
「うんっ。だって、美汐は真琴の、初めての友達だもん」
ちょっと照れちゃったけど、あたしは二人の顔を見ながらそう言った。
「それでね、名雪がお姉ちゃんで、秋子さんがおかあさんなの」
「私のこと、おかあさんって呼んでくれるの?」
「えっと……嫌?」
ちょっとおそるおそる聞いてみたけど、おかあさんは優しく笑ってくれた。
「そんなことないわ。だって、真琴は私の娘ですもの。そう呼んでくれると、嬉しいわ」
「えへへっ、それじゃあ……おかあさん!」
「ふふふっ」
おかあさんが立ち止まって、またあたしの頭をなでてくれた。
「えへへっ」
へらへら笑ってるあたしを、美汐は優しく見てくれていた。
「それでは真琴、相沢さんは?」
「えっ?」
突然美汐に言われて、あたしはぴたっと止まった。
あう、知ってることは知ってるけど……ちょっと、恥ずかしいよう……
「相沢さんは?」
な、なんかいたずらっぽいよぅ……
「ゆ、祐一は……
ま、真琴の、一番大切な人っ!」
「真琴?」
あう、ごまかせない……
「……真琴の、だんなさま……」
マンガでいろいろ見たことがあるけど……こんなこと言うの、初めてだもん……
照れて下を向いてると、美汐の手が真琴の頭にそっと乗せられてた。
「真琴は、相沢さんのお嫁さんですものね」
「ええ」
美汐もおかあさんも、笑いながらそう言ってくれた。
「それに……ほら、真琴。覚えてる?」
おかあさんは手提げ袋から財布を取りだして、その中から一枚のシートを取りだした。
それは、プリクラのシート。
あたしかいつも見ていて、あの日……祐一や名雪、おかあさんが誘ってくれて、本当にうれしかったって覚えてる。
「うんっ」
「ここに書いてあるでしょ?『水瀬家一同』って」
ちょっと下手な文字だけど、確かにそう書いてある。
「真琴は、私の……そして、祐一さんの、名雪の、そしてぴろちゃんの、大切な家族なんですよ」
また、おかあさんがあたしの手を取った。
「ですから、帰りましょう。私たちの家へ」
見上げれば、笑顔。
あたしも、おかあさんみたいに笑顔を浮かべて、
「うんっ!」
って、返事した。
しばらくして……懐かしい場所が見えてきた。
あの雪の日が嘘みたいな、あったかい場所。
そして、あたしが大好きな場所。
水瀬家。
夕日のオレンジ色に染まった家の前に、あたしは立った。
美汐と初めて会って、おかあさんとお別れして……
そして、あたしはまたここに帰ってこれたんだ。
「…………」
「真琴?」
「……あぅ」
なんで……?
足が固まったみたいになっちゃって、動かないよぅ……
早く、祐一たちに会いたいのに……
どうして、こんなに胸がどきどきするんだろ。
そう思ったときだった。
「あっ」
おかあさんが、あたしの肩に手を置いた。
美汐も、もう片方の肩を……
「大丈夫よ、真琴」
「私もいますから」
……そうだよね。
「うんっ」
あたしは小さくうなずいて、一歩踏み出した。
だって、ここはあたしの家なんだもん。
ドアに手をかけて、ゆっくりと開く。
そして……
そこは、あの日と変わらないままだった。
『……いってきます』
そう、おかあさんにあいさつしたときと、まったく。
また、ここに帰って来れたんだよね……
だから、あたしはおかあさんのことを見上げて、
「ただいまぁっ」
今度は思いっきり笑いながら、あたしはまたそう言った。
「おかえりなさい、真琴」
ちょっとびっくりしたみたいだったけど、おかあさんも笑いながら言ってくれた。
えへへっ……やっぱりうれしいなぁ。
「天野さんも、どうぞ入ってください」
「美汐も、美汐も〜」
「おじゃまします」
そう言って、三人と一匹でいっしょに中に入る。
あったかい、優しい空気。
自分の顔が、にこにこしてるのがわかるくらいだった。
「おかえり〜」
二階から、ぱたぱたって足音が聞こえる。
「遅かったね、おかあさ……」
そこまで言って、立ち止まる女の子――名雪。
「ただいま、名雪っ!」
そんな名雪に、あたしは笑顔でそう言った。
「…………」
……あれっ?
なんだか、あたしのことをじーっと見てる。
「……真琴、なの?」
「うんっ」
いつものときみたいに、ぼーっとした名雪の顔。
それが、どんどん笑顔になって……
「……おかえりっ!」
階段を駆け下りると、そのままあたしに抱き付いてきた。
「わあっ!」
「真琴、帰ってきたんだねっ!」
「うんっ、ただいまあっ!」
名雪の笑顔を見て、なんだかほっとした。
ほんとに、ここに帰ってきたんだなって、そう思えたから。
「うなぁ」
「うん?」
「うにゃ〜」
ぴろがあたしの頭に乗っかって、うにゃうにゃ鳴きだした。
「あ……ねこさん」
「うにゃ〜」
「ぴろ?」
「ねこーねこーねこー」
「にゃーにゃーにゃー」
いきなり、名雪がぴろの頭を触りだして……あっ、涙流してる。
「ねこーねこーねこー」
「にゃーにゃーにゃー」
「ねこーねこーねこー」
「にゃーにゃーにゃー」
「あ、あう?」
わけがわからなくて、あたしは名雪の泣き笑い――なのかな?――を、ただ見てることしかできなかった。
「名雪?」
「ねこーねこーねこー」
「名雪ったら」
「あっ……な、なに? お母さん」
やっと返事をした名雪だったけど、まだ涙を流してる。
なんか……ヘン。
「祐一さん、帰ってきてるんでしょう?」
「うん。だけど、寝てるみたいだよ」
「えーっ? 寝てるの?」
「今朝もわたしを起こすのに、早起きしたみたいだからね」
なんかちょっとずれてる返事だけど……
「名雪……もうちょっと早起きしてよぅ」
「うん……努力するよ〜」
苦笑いしながら、そう言う名雪。
こういうところがあるから、憎めないんだよね。
「そう……寝てるのね」
おかあさんは、ちょっと考え込むみたいにして呟いた。
そして、あたしが手にしてるものを見ると、にっこり笑った。
「真琴、ちょっといいかしら?」
「えっ?」
*
ギシッ……ギシッ……
あう……床、鳴ってるよぅ。
歩きにくいし、少し疲れるし。
そう思いながら、あたしは祐一の部屋にそっと近づいた。
久しぶりだけど、すっごく懐かしい。
ドアノブに手をかけて、ゆっくり回す。
ちょっと覗いてみると……寝てる寝てる。
「ぐー……」
「あははっ……」
なんかいびきたててるし……今がチャンスかもね。
あたしは後ろに注意しながら、そっと部屋の中に入った。
そして、ゆっくりドアを閉める。
部屋の灯りは、窓から差し込んでくる月明かりだけ。
帰ってきてから、もうこんなに時間が経ったんだぁ。
あたしは祐一のベッドに近づきながら、そんなことを思った。
ベッドの横に行ったあたしは、そのままちょこんって座って……祐一の顔を、そっと覗き込んだ。
「ぐー」
あははっ、なんかかわいい。
二度目に会ったときはあんなに憎いと思ってたのにね。
ちょっと笑いながら、あたしはずっと祐一の寝顔を見てることにした。
いろんなことがあったよね。
祐一があたしのことを拾ってくれて、そして、別れて……
七年たって、あたしは願ったんだ。人間になりたいって。
だって、祐一のにおいがしたんだもん。
だから、どうしても祐一に会いたくて、人間になったの。
別れた文句も言いたかったけど、また会いたくて。
記憶は無くなっちゃうって知ってたよ。
だけど、どうしても会いたかったんだもん。
それで、いろいろ迷惑かけちゃって……ごめんね。
でもね、とっても幸せだったの。
祐一と、おかあさんと、名雪と暮らせて。
あたしも家族になれたんだから。
みんなでいっしょにごはん食べて、いっしょに寝て、一緒にテレビを見て。
それに……プリクラもして、花火もして。
それがすっごくうれしかったの。
大好きな祐一も、あたしにベールをくれて……ずっと抱きしめてくれてたこと、覚えてるよ。
でも、あたしは消えちゃって……
祐一、あれからどう思ってたのかなぁ。
あたしのこと……
あたしは、ずっと好きだったよ。
だから、最後に言葉にしたんだもん。
あたしの、最後のお願いを。
「真琴ぉ……」
「ん?」
目、覚ましたのかな?
「まんが……よんでほしいのかぁ……ぐー」
あははっ、寝言かぁ。
くすっと笑いながら、あたしは祐一の寝顔をもう一度見た。
「ぐー」
エッチで、バカで、どうしようもない祐一。
でも、あたしはそんな祐一が大好き。
だから、あたしは……
「ねえ、祐一」
あたしは、そっと祐一の耳に口を近づけた。
「したい……けっこん」
あの時のお願い。
「祐一と結婚したい……」
もう一度、言いたくて。
「そうしたら、ずっといっしょにいられる……」
もう一度、お願いしたくて。
「祐一と、ずっといっしょに……」
そして、あたしは祐一のほっぺたに……そっと、くちづけした。
「うんっ……」
寝返りをうつ祐一。
こっちのほうを向くかっこうになって、そして……
「…………」
祐一の、目が開いた。
「……おはよ、祐一」
そっと、祐一に笑いかけてみる。
「……また、夢か?」
目を擦りながら、そう言う祐一。
「……夢じゃないよ」
もう一度くちづけ。
今度は、反対側のほっぺたに。
「……真琴?」
「何?」
「本当に……真琴なのか?」
「そうだよ」
その返事に、祐一があたしのほっぺたをそっと触った。
「……あったかい」
「……当たり前でしょっ」
祐一の手のひらも、とってもあったかくて……
「……夢じゃ……ないのか?」
「……当たり前よっ」
文句を言ってるのに、涙がにじんで……
「本当に……本当に真琴なのか?」
「あう……しつこいわよぅ」
そう言った瞬間、祐一が起きあがって、ベッドから降りた。
「真琴……真琴っ!」
「あうっ」
いきなり抱きしめてくる祐一。
ちょっと痛いけど、すっごくうれしい。
「ただいまっ、祐一!」
「おかえり、真琴……!」
「会いたかったよ……あぅ……うぐっ……ずっと、祐一と会いたかったよ……」
あたしも、祐一にぎゅって抱き付いた。
とってもあったかくて、気持ちいい。
「けど、どうして……」
「真琴にもわからないけど……だけど、戻って来れたの」
「そっか」
「ねえ、祐一」
祐一の顔を見上げて、あたしはそっと言った。
「何だ?」
「ごめんね、突然いなくなっちゃって……」
「……真琴?」
「でも、祐一が突然いなくなっちゃったからだよ。
七年前、真琴をおいてどっか行っちゃったから」
「……っ!」
「だから……だから、真琴は人間になりたかったの。
人間になって、祐一に会いたかったの」
「お前、記憶が……」
おどろいている祐一に、にこっと笑ってみる。
「また、いっしょにいられるね」
「あ、ああ」
「祐一のそばに、いてもいいよね?」
「……当たり前だろっ」
また、祐一があたしのことを抱き寄せる。
「あうっ」
「いいか? もう……もう、いなくなるんじゃないぞ」
「……うんっ」
「いくらでもイタズラしたっていい。いくらでもわがまま言ったっていい。でも……何も言わずに、いなくなったりするんじゃないぞ」
「もう、わかってるわよぅ」
祐一の胸に抱かれながら、あたしは返事した。
「だから……」
そして、あたしは祐一の腕の中から離れて……窓際に近づいていった。
「ま、真琴……!?」
「祐一」
そして、にっこり笑ってみる。
「結婚式の続き……しよ?」
ドレスのフリルが、背中に受けてる月の光にきらきら光っているのが、自分でもわかった。
おかあさんがくれた、ウエディングドレス。
『結婚式の続きなら、ドレスを着ないといけませんね』
そう言いながら、おかあさんと名雪、美汐が着させてくれた。
ちょっと大きかったけど、とっても綺麗で……
まるで、自分じゃなくなったみたいで……
この姿のまま、あたしは祐一の部屋へ来た。
「どうしんたんだ、それ……」
「あぅ、おかあさんが……」
「だけど、ベールが」
「祐一」
「あっ……」
あたしはにっこり笑ったまま、手にしていたものを祐一に渡した。
すすけたベール……だけど、大事な、大事な二人のベール。
あたしの宝物で、祐一の宝物……
「祐一がくれたベール……ぴろが、見つけてくれたよ」
「真琴……」
「だから……結婚式の続き、しよ」
「……そうだな」
ベールを手にした祐一が、あたしのほうに近づいてくる。
「真琴」
「うん」
「結婚、しよう」
そう言って、祐一がベールをかぶせてくれた。
あたしは、それを押さえながら、
「うんっ」
そう、返事した。
あのときできなかった返事を。
「指輪はないけど……」
小指を差し出す祐一。
その小指に、あたしも小指をからめた。
月の光をあびて、あたしと祐一の手がぼうって光ってる。
ずっと、いっしょにいるって約束……
それだけでも、とってもうれしかった。
「うんっ」
こくんってうなずいて、あたしは目を閉じた。
「祐一……」
「何だ?」
「キス、しよ。誓いのキス」
「えっ」
「嫌?」
「いや、そういうわけじゃないけど。いきなりは、な」
「あぅ……」
「……まったく、しょうがないな」
祐一が、あたしのあごをそっと持ち上げる。
そして、祐一のくちびるが、あたしのくちびるにそっとふれた。
ただ、重ねただけだけど……とっても、あったかい。
しばらくして、くちびるを離す。
目を開けると、祐一は優しい笑顔のまま、あたしを見てくれていた。
あたしと初めて会ったときの、あの笑顔といっしょ。
「祐一……」
それを思い出したとたん、涙が出てきて……
「大好きっ!」
あたしは、祐一の体に思いっきり抱きつく。
「俺もだ……真琴」
そう言いながら、祐一は頭をそっとなでてくれた。
ずっと、変わらなかった。
祐一と初めて会ったときから、今まで。
何度も出会って、別れたけど……
それでも、思ってることは変わらなかった。
いたずらもしたし、いじわるもした。
だけど、それだって、そのことをあらわしたかっただけ。
素直になれなかっただけ。
今でも素直じゃないかもしれない。
だけど、今ならはっきりと言えるよ。
本当の、みんなへの想い。
好きだよ、祐一。
そして……
みんな、ただいまっ!
[ To be continue for " Lady Navigation 1st." ]
初出 2000.2.27
改訂 2001.7.22