注)このSSは「こみっくパーティー」牧村南シナリオのネタバレを含んでいます。
その点をご留意の上、お読み下さい。
[ 光の射す場所へ ]
Written by Kazuki Takatori
ガチャッ
大きな扉を
私はゆっくりゆっくりと押していった
重くて冷たい扉
だけど
なんだかワクワクしてくる
これから始まる、新しいこと
バタッ
全部開けきって
中を眺めてみる
夕日が天井付近の窓から射し込んで
床へ幾筋もの光を映し出していた
風のせいか
外の木々が揺らめいて
その光も揺らしていく
私はひとり
その中に踏み出した
ひんやりとした空気が
私のことを包む
ただ広いだけの空間
ただ冷たい空間
私だけがいる空間
どこを見回しても
だれもいなくて
どこにも
なにもない
ここは小さな田舎町の
小さな展示場
ここを見たら
みんな何て言うだろう
『やるだけ無駄』
『どう見ても無理』
『どうせ誰も来ない』
ここを借りる時にも言われた
どうせやっても赤字だと
やめたほうが身のためだと
けど……
私は信じています
私は夢見ています
ここの空間に
ぬくもりが広がること
おしゃべりの声であふれること
絆が結ばれること
私が大好きな場所
みんなが出会って
みんなが笑って
みんなの夢が広がって
いろいろなところに広がって
また新しい夢ができる場所
その場所を
ここにも広げたかった
だから
賭けたかった
私の夢を
私があの場所でもらった夢
あの人にもらった夢
みんなにもらった夢
それをみんな
私は伝えたかったから
今がんばっている人たちに
新しい世代の人たちに
伝えたいことがいっぱいあって
そんな夢を叶えたかった
何度やめようと思ったんだろう
何度くじけそうになったんだろう
それでも
あの人がいてくれた
みんながいてくれた
あの人が勇気をくれた
みんなが勇気をくれた
ここにあふれる勇気
ここにあふれる夢
ここにあふれる希望
きっとみんなあふれるはず
あの場所のように
私が大好きな場所のように
あの場所で出会えたあの人
いつも応援してくれたあの人
私を見守ってくれたあの人
優しく包んでくれたあの人
あの人の夢
私の夢
それを今
絶対叶えたい
どんなに冷たい場所でも
きっとここに
いろいろなものが生まれるでしょう
暖かい場所になって
きっとここに
いろいろなひとが集まるでしょう
光が射すように
きっとここに
夢が生まれるでしょう
それを名に刻んで
この場所を温めていきましょう
だから私は
あの人といっしょに
みんなといっしょに
この場所を
暖かく包んでいきたいです
――新しい場所を
――光が射す場所を
【 あとがき 】
閉会後の同人誌即売会場というのを、見たことはありますか?
設営前の同人誌即売会場というのを、見たことはありますか?
夢の跡のような寂しい場所ですよね。片づけた後の会場は。
だけど、設営前の会場っていうのは、何故かワクワクするものです。
それを、今回のSSでは表現してみました。
「コミックジェネレーション」という、南さんが主催するイベント名を見て思いついたSSで、かなり突発的に作ったものです。
イベントというのは、いろいろな物が生み出されていく場所です。それを生み出すことも、そして場所を作ることも、生半可なものではありません。
EDにもありましたが、イベント開催という物は苦労が伴います。けど、きっと南さんだったら「あの場所」「和樹」への想いで、乗り越える……そう思ったわけです。
久々のこの形式でしたが、いかがでしたでしょうか。
それでは、また。
たかとり和樹でした。
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