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(お知らせ1)「COMITIA91」にお越し頂いた方々、本当にありがとうございました。なお、次回のサークル参加予定は未定です。
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2010/04/02(金) 同人誌感想記 第47回「ある日の風景 - allegrissimo -」

(これまで紹介した作品の一覧はこちらです。)
タイトル:ある日の風景 - allegrissimo -
サークル名:混沌レディースタジオ (HomePage)  作者:DITさん&てぃーさん
ジャンル:THE IDOLM@STER  購入店:まんだらけ秋葉原店(2009.8)
傾向:人気番組に出演するやよいに迫るプレッシャー


 アーケードに端を発し、Xbox360やPlayStationPortable、ニンテンドーDSといったゲーム機やドラマCD、ボーカルCDと様々なメディア展開を見せるシリーズ「THE IDOLM@STER」。個性的な女の子たちの中から一人を選んでプロデュースしていくという本シリーズは同人においても人気を博していて、アーケードでの稼働から5年を迎える現在も活気あるジャンルの一つとなっています。本作はヒロインの一人である元気少女・高槻やよいを主役に据え、某お昼の長寿テレビ番組をモチーフにした「則田和義アワー 笑っていいかも!」に出演することになった彼女を取り巻く思惑や顛末を描いたお話です。

 番組出演前日「お友達紹介」の電話を待っているやよいと、それを見守るプロデューサーと春香・小鳥。緊張でテンパっていたやよいだが、元気に受け答えした後は本当に出演するんだという高揚感に包まれていた。そのきっかけはやよいが前座としてコンサートに出演した元アイドルの歌手・横山紀久美との出会いで、やよいの素質を目にした紀久美は2ヶ月後に出演が決まり、Bランク以上の芸能人が出演することが暗黙の了解となっていた「いいかも」にやよいを呼ぼうと、社長ではなくプロデューサーに直接持ちかけてきた。それが意味するところをよく理解しているプロデューサーは慎重に事を進め、逆に765プロに所属するアイドルたちは祝福し、特に仲の良い伊織は我が事のように喜んでいた。だが番組出演前日、事務所に帰ってきた伊織はドア越しにプロデューサーと社長の言葉を耳にしてしまう。それはプロデューサーの独断を責める、社長の厳しい言葉だった……

 原作でのテレビ出演といえば、目標の一つである「音楽番組」なのですが、現実においてはバラエティ番組の出演もアイドルのお仕事の一つ。原作と現実をミックスさせてキャラの魅力をさらに引き出したお話となっていて、一番の元気印である彼女をバラエティに抜擢したというのは納得させられる選択でありました。プロデューサーやオリジナルキャラであるアイドルの先輩・紀久美や高木社長、伊織たちの思惑に翻弄されてプレッシャーに押しつぶされそうになってしまいながらも、最後は「プロデューサーとの絆」を信じていつも通りの彼女を取り戻し、彼女らしく番組に参加していく姿に思わず笑みがこぼれました。きっかけが彼女とのゲーム中での代表格であるとあるコミュニケーションというのも粋だったと思います。

 お話の最終的な舞台である「某有名昼帯番組」の描写もとても克明であり、司会者であるノリさん(=タ●さん)とやよいのやりとりが鮮明に思い浮かぶほど。本作ではそのさわりと舞台裏しか描かれていませんが、以前「よつばの。読書会5」で拝見した別冊「則田和義アワー 笑っていいかも! 増刊号」ではそのテレフォンショッキング(らしきコーナー)の模様が丸々収録されていて、やよいとハイタッチしたり頭を撫でられたりしてやよいのパワーにどんどん呑まれていくノリさんの姿がとても微笑ましかったです。

「ある日の風景」は各ヒロインによるシリーズで、本作の前は如月千早編である「a mezza voce」(未読)、そして本作の後に星井美希編である「before relations」「modulation relations」(未読)以降続刊となっております。「before relations」はXbox360版「THE IDOLM@STER」を元にしたお話。どうして実力を秘めている美希が本気を出さずにマイペースでいるのか、そしてそれが招いてしまった悲劇が描かれていて、混沌レディースタジオのお二人なりに解釈された「美希シナリオ」が展開されています。まだ3巻構成のうち1巻目ということで詳しくは書きませんが、先般頒布された「modulation relations」も併せて本シリーズも非常に楽しみな一作であります。

2009/11/28(土) 同人誌感想記 第46回「屋上のカノジョ」

(これまで紹介した作品の一覧はこちらです。)
タイトル:屋上のカノジョ
サークル名:辺境屋 (HomePage)  作者:木野 陽さん
ジャンル:創作  購入イベント:COMITIA 90(2009.11.15)
傾向:ほのぼの建物ファンタジー。住人と"被"住人の物語。


 あらゆる建物の屋上に、小さな社が建つ大都会。その社には「屋敷童子」が住み家を護っているけれども、老朽化した建物はさすがに解体しないといけない。そんな屋敷童子たちと意志を通わせることができる解体コンサルタント・山田は、古くなった建物の社を廻っては彼らから解体の許可を得る役目を負っていた。それは山田の住まいである築六十年のボロアパートでも例外ではなく、屋上菜園を兼ねている屋上で屋敷童子がいるはずの社に訪れることに。そこに屋敷童子の姿は無く、途方に暮れる山田をよそに菜園の発案者でありちょっと気になる女性・日高さんと住人のおばさんたちが菜園へとやってきた。楽しく収穫をしながらも今の"住まい"が解体されることに不満を募らせるおばさん方。その会話を聞いていた日高さんも表情を曇らせ……

「座敷童子」ではなく、建物をまるごと守護している「屋敷童子」と、その建物を壊すために交渉する「解体コンサルタント」のお話。少し気弱な山田と快活な日高さんが中心となり「住んでいる人」「住まわれている人」、「壊す人」「守る人」といった相反した立場を見せつつ物語が展開していきます。もちろん他にもアパートの住人がいたりするのですが、それと同じように建物に「住まわれる」屋敷童子がいて、それぞれが様々な姿を持ち、それぞれ自らの想いを持っているというのが非常に個性的。解体することに納得する住人・屋敷童子もいれば、納得できない住人・屋敷童子もいる。その狭間で「壊す」という立場でいる山田の、そして立場の垣根を越えてしまった日高さんの姿を通して、彼らの想いが綴られていきます。

 壊すための交渉は、山田にとっての「仕事」。自らの住まいを壊すことさえあまり躊躇していなかった中で直面した屋敷童子の想い、日高さんの想い、そして自らの想いにより彼は強く動揺してしまうのですが、自らの立場を熟慮した上で屋敷童子のことや日高さんの想いを理解し、その後奔走していく姿は「ただ仕事を進めるだけ」だった冒頭からの彼の成長が伺えるものでした。終盤の「新しい場所」に元住人などの人々が集まり、日高さんが山田に見せた笑顔はそんな彼らの「想い」の結実とも言えるでしょう。

 ほのぼのとした雰囲気の中でも、ひしひしと人々や童子たちの想いが感じられた本作。夜のアパート前が描かれた表紙は、窓から見える灯りや住人の表情から生活が伺え暖かみのある"プロローグ"。そして、最後のページまで読み終わってからまた表紙をめくって見る扉絵は、建物のミニチュアとともに物語に関わる人々などの姿が描かれた"エピローグ"……確と定義されているわけではないのですが、そう思えるくらい本の全体が物語となっていて、全てを読み終えて初めて感じられたその構成に思わず「やられた!」唸ってしまいました。

2009/11/26(木) 同人誌感想記 第45回「After Party」

(これまで紹介した作品の一覧はこちらです。)
タイトル:After Party
サークル名:MIX-ISM (HomePage) & さくらぢま (HomePage)
作者:犬威赤彦さん&バーニア800さん&マテバ牛乳さん(他ゲスト多数)
ジャンル:こみっくパーティー  購入イベント:サンシャインクリエイション45(2009.9.27)
傾向:パーティーはまだまだ続いていく。「こみっくパーティー」発売10周年記念本


 1999年、美少女ゲームメーカー「Leaf」に新しく出来た東京開発室が制作した「こみっくパーティー」というソフトが発売されました。それまでLeafはWindowsで「雫」「痕」「To Heart」というビジュアルノベルシリーズや「WHITE ALBUM」といったアドベンチャーゲームを発売してきましたが、本作は育成型シミュレーション+アドベンチャーゲームという形態をとっており、しかもテーマが「同人誌制作」という非常に珍しい作品でした。ヒロインも一般人やサークル側(こだわり、流行り物、創作)、印刷所、スタッフ、コスプレイヤー、アイドル声優、隠しキャラとして読者と同人誌即売会に関わる人々というラインナップで、彼女たちとのやりとりや同人に纏わる様々な出来事が織り交ぜられたシナリオが人気を博しました。*1

 それから10年経った2009年秋。ふらりと出かけた即売会で「ケースに入った同人誌」という珍しい本を見かけて手に取ってみると、そこに冠されていたのは「Let's celebrate the 10th anniversary.」の文字が。よく読んでみると電撃大王(メディアワークス・刊)で漫画版「こみパ」を描いていた犬威赤彦さんの「MIX-ISM」、そして長年こみパの同人誌を描かれてきたバーニア800さんとマテバ牛乳さんの「さくらぢま」が中心となって制作し、さらには百数十名ものこみパファンがゲストとして参加されているというとても濃密な同人誌だったのです。

 224Pという大ボリュームのこの同人誌は「こみパ10周年」をテーマにした漫画やお祝いイラストなどで構成され、キャラクターそれぞれの「10年」経過を読むことが出来たり、現在様々な現場で活躍されている方々のこみパへの思い入れなどがあふれていたりとパワフルさに溢れています。また、作りも大変凝っていて、上記の画像では瑞希・大志・和樹・詠美・由宇の姿が写されたカラー写真のようになっていますが、前出の「ケース」を外すと左のように、こみパ主人公・友人・ヒロインが朝焼けのビッグサイト前で大集合という絵柄に。*2思わずこれにはスペース前で「やられた!」と声を出してしまいそうになったほどです。

 漫画はというと「さくらぢま」のお二人が「10年後も相変わらずだけど、成長したところも見せたりしている面々」というお話で、犬威さんが「10年経って見失いかけていたものを思い出す」というお話。前者の舞台は〆切当日で、このゲーム特有の「修羅場モード」でひっちゃかめっちゃかになってる面々を描いていて、相変わらずマイペースに周りを巻き込む大志に、いざとなればとにかく突っ走る由宇。おバカだけど腕を思いっきり振るう詠美に、ゲーム時とは違い気丈に振る舞えるように成長した彩と、ヒロイン同士のやりとりも多く賑やかだという「こみパ」らしい魅力に溢れています。

 後者の作品は、本編から10年が経って「漫画への情熱」を忘れかけていた和樹が、居眠り中に妻・瑞希が起こそうと振るった釘バット*3によって1999年のこみパ会場に飛ばされてしまうというお話。10年前のこみパ会場にいたのはまさにその当時のヒロインたちで、やりとりはその当時と変わらないのですが、10年後から来た和樹にとってはそのやりとりが「原点」そのもの。目覚める直前、最後に現れた人物も和樹にとって同人誌――漫画に触れることになった「原点」。そして、プレイした側にとっても彼・彼女たちの姿は「こみパ」という作品の「原点」。読んでいるうちに、当時のことやゲーム中の出来事が鮮明に思い出されてきました。

 百数十人にも及ぶゲストの方々のこみパへの想いも強く、漫画にイラストに写真に文章とこみパへの情熱がギッシリ。熱狂冷めやらぬパーティーのごとき熱さが、この本からひしひしと感じられました。

*1 : Nifty-Serve(現・@nifty) FCGAMEX(コンピューターゲームXフォーラム)貴方が選ぶベストゲーム'99 '99ベストXゲーム部門第3位。余談として1位は「Kanon」、2位は「加奈〜いもうと〜」。4位は「とらいあんぐるハート2 さざなみ女子寮」でした。

*2 : さらに、カバーを外してみれば、そこには「たて」「よこ」というある種こみパに欠かせない二人の姿まであったりして。

*3 : 漫画版の独自設定です。

2009/11/24(火) 同人誌感想記 第44回「手のひらの宇宙」「dear our wonderful lives」

(これまで紹介した作品の一覧はこちらです。)
タイトル:手のひらの宇宙
サークル名:岡崎工房 (HomePage)  作者:岡崎裕樹さん
ジャンル:ドラゴンクエスト5 天空の花嫁  購入イベント:コミックマーケット75(2009.12.28)
傾向:敵襲により記憶を失ってしまった双子の弟。守れなかった姉は記憶が戻らないことに焦りを覚え……


 もはや国民的RPGと言っても差し支えないゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズ。ファミリーコンピューターからスーパーファミコンにプラットホームを移した「ドラゴンクエスト5 天空の花嫁」は幼年期から青年期までという長い時の流れを舞台とし、妻を娶り、魔物が仲間となり、主人公ではなく生まれてくる息子が勇者になるというこれまでとは異なる構成の作品でした。その後、プレイステーション2やニンテンドーDSにも移植されるなど長い人気を博し、同人誌でも様々な方が本作の物語を描かれています。

 本作は、主人公・リュカの息子であるレヴィストと、その双子の姉であるファーナのお話。戦闘中、ギカンテスに痛恨の一撃を放たれたレヴィストは昏睡の後に全ての記憶を失ってしまう。両親のことも仲間だったモンスター達のことも忘れたことに不安を覚えるレヴィストだったが、中でもファーナの悲しそうな表情が脳裏に焼き付いていた。ファーナも同様で、レヴィストを連れ歩くことで記憶が蘇ることを期待するも状態は変わらないまま。そして、思い出せないことを謝るレヴィストに彼女は「レヴィストのことなんか、もういらない!」と告げ、ルーラで去ってしまうのだった。

 全てのこと――勇者であったことさえも忘れてしまった弟と、彼との想い出を心に刻み続けている姉。双子のうち自らでなくレヴィストのほうが勇者となり寂しかったことも、二人でサンチョを追い両親を捜すために城を出たことも、何もかもがファーナにとって全てが大切な想い出。いつもその手にはレヴィストの手を握っていて、導かれたり、ともに勇気を出し合ったりしていた。でも、何もかもを覚えていない彼に手を握られたことを拒絶したときには、それらの全てを失ってしまったという絶望感が感じられました。それだけレヴィストと一緒であったことが大切だったということだと思うのですが、それはレヴィストにとっても一緒。記憶を失ってしまった彼にとってもそれは拠り所だったようであり、やがてそれが希望へと繋がっていくシーンには二人の絆の強さが感じられます。

 PS2版・DS版でこそ彼ら双子の台詞が多く用意されていますが、こうして互いの想いや葛藤というのはなかなか見えないもの。自ら勇者でないことへの葛藤や両親を見つけるという強い決意などが様々な登場人物とのやりとりの中で感じられ、あのシーンの裏側ではこんなやりとりがあったのかなという想像が自然に広がっていくかのような思いでした。また、リュカとビアンカといった両親もしっかりお父さん・お母さんしていて、ビアンカはファーナを抱きしめ、リュカは優しくも真正面からしっかりと諭しているのは微笑ましいところ。「家族」というのがしっかりと描かれているのが、とても見応えがありました。

 岡崎さんが執筆されたDQ5を題材にした作品は多く、近刊であり過去作品総集編となる「dear our wonderful lives」*1はビアンカ編、フローラ編ともに描かれていて、それぞれの両親の影響を受けちょっとずつ性格が違う双子たちが読めるのが興味深かったです。双子だけの物語ではなく、ヘンリーやコリンズ、プサン(マスタードラゴン)や「かつての天空城にいた女性」、そして「導かれし者」など、彼らにまつわる人々たちとの時を越えた――さらには「世界」を越えた物語にもなっており、姉弟や親子としての関わりや、友達や祖先との関わりといった様々な「絆」が広がっていくのがとても心地よかったです。現在はデボラ編も描かれているそうで、岡崎さんによる双子たちのさらなる物語を楽しみにしております。

*1 : 2009.9.21 ドラゴンクエストオンリーイベント「もうひとつのせかい」にて購入

2009/11/22(日) 同人誌感想記 第43回「パパは小学4年生」シリーズ

(これまで紹介した作品の一覧はこちらです。)
タイトル:パパは小学4年生 Vol.10〜12
サークル名:MEGAPLUS (HomePage)  作者:廈門 潤さん(現・陸乃家鴨さん)
ジャンル:ママは小学4年生  購入イベント:コミックマーケット67(2004.12.28)
傾向:本編後の未来、今度は大介がタイムスリップする。


 かつて「日本テレビ夕方5時」といえば、アニメ作品の黄金時代を築いていました。中でも日本サンライズ(現・サンライズ)制作枠は非常に人気が高く、88年の「魔神英雄伝ワタル」を皮切りに、89年「魔動王グランゾート」、90年「魔神英雄伝ワタル2」、91年「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」、92年「ママは小学4年生」までの計5作品は子供たちだけでなく女性にも人気があり、同人誌においてもこれらの作品はアニメ系のメインジャンルとなり単独作品アンソロジーが発行されるほどの人気を誇り、二十年前後経った現在でも多くの同人誌が執筆されています。

「ママは小学4年生」は、当時の日本サンライズとしては珍しかった女児向けのアニメ。小学4年生の主人公・なつみが未来からタイムスリップしてきた彼女の娘・みらいを叔母や友人たちと一緒に育てていくというお話で、子供が大人を振り回したりするコメディ要素とともに親子愛・家族愛というドラマ要素が随所に散りばめられた名作でした。

 廈門潤さん(現在は主に「陸乃家鴨」さんとして活動中)もこの作品に魅せられたお一人で、近年まで「パパは小学4年生」シリーズを執筆。主人公であるなつみと大介が成長し、恋仲になっていく姿を300ページ以上にわたって描いた「夢見る時代を過ぎて」シリーズと、劇中劇を長編として描いた「銀河マン」シリーズ、そして未来でのなつみの夫・大介が未来へタイムスリップしてしまう「パパは小学4年生」の3作品を15年近くにわたって執筆されていました。今回ご紹介するのはその中から「パパは小学4年生」……小学生の大介と成長したみらいが出会うお話です。

 結婚から幾年も過ぎ、倦怠期なのか夫・大介を冷たくあしらってしまう妻・なつみ。この日も仕事で帰りが遅くなるという電話を受け、10歳になったみらいに「そんなのじゃママに捨てられちゃうよ」と言われて大介は焦ってしまう。それでも構うことなくみらいがちくちくと大介をいばっているうちに、やがて外の雲行きが怪しくなり会話中に突然カミナリが落ちて電話が途切れてしまう。戸惑うみらいがリビングを見渡すと、テレビの中からいきなり見知らぬ男の子が……混乱する彼女に、なつみが「大介ぇ?!」という耳慣れた父の名前を口にする。彼こそが父・大介の25年前の姿なのだった。

 未来から過去へ飛ばされる本編とはまるで逆の「過去から未来へ飛ばされる」という状況に、主人公・なつみでなくそのケンカ仲間であり未来における夫・大介を放り込むという奇抜な設定ながらも、未来の娘・みらいとの掛け合いも抜群で非常に軽快に読める作品に仕上がっています。なつみも大人の女性になっているものの、夫がいなくなってしまってなんとか自分で頑張ろうとする姿は子供の時と変わらず。でも、その傍らには立派に成長したみらいがいるわけで、彼女の元気さに支えられながら未来に放り込まれた謎をみんなで――過去へ飛ばされた大介を含めて解明していくという、公式に販売されていた後日談ドラマCD「ママは小学4年生 AFTER」とはまた違った「もう一つの未来」がここにあります。

 残念ながら最終話となるVol.12の本誌を購入する機会を逃してしまったのですが、現在はDLSite.comにて前者2作を含めまとめられた作品がダウンロード販売されており、容易に読むことが出来ます。色々と言われているダウンロード販売ではありますが、過去に買い逃してしまった名作がこういった形で読むことが出来るのは非常に有り難いことだと思いました。