ニュー・シネマ・パラダイス
New Cinema paradise
最近、ちょっと体調不良でパソコンから離れていたんですけど、その間は演劇や映画などのビデオを見ていたりしました。その中から、今回は「ニュー・シネマ・パラダイス」を紹介させていただきたいと思います。
名作と誉れ高いこの作品を見ての感想ですが、まず結論から言うと……「見て良かったけど、自分にはまだ早すぎた」と思ってしまいました。
1900年代前半のイタリア・シチリア島。ここのある村の教会は、映画館として人々に娯楽の場を提供していました。映画といってもかしこまって見るわけではなく、村のみんなと騒ぎながら、笑いながら、思い思いに楽しい時間を過ごしていて、まさに「楽園」のような世界です。
そんな映画が大好きな少年・トトは、いつも映画技師のアルフレッドのところに行っては映画のフィルムを覗き込み、自分が映画スターになったような気分に浸っています。そのフィルムの中には「倫理上良くない」……いわゆるキスシーンなどがあったりして、アルフレッドはいつもフィルムをカットしてはつなぎ合わせ、カットしては繋ぎ合わせをしてるんですけど、トトはそのフィルムを拾って覗き込んでは、アルフレッドにしかられていました。
いつものように笑いながら映画を見に来て、いつものように笑って酔っぱらって帰っていく。アルフレッドもいつも楽しそうにフィルムをカットして映写機にかけていく。トトはそんなみんなと映画が大好きでした。
ところがある日、不慮の事故でアルフレッドは視力を失ってしまいます。トトはアルフレッドに映画技師になると告げ、アルフレッドのかわりに村のみんなに映画を見せるようになります。トトはいつもアルフレッドのそばでフィルムのかけ方などを見ていたので、知らぬ間に覚えてしまっていたのでした。
しかし、大人になっていくトトにアルフレッドは「お前はローマに行きなさい」と告げます。アルフレッドはトトの将来を想い、村にとどまるよりも外に出て幸せになってほしいと思っていたのです。
最初は戸惑っていたトト。しかし、トトはそれに従い故郷を離れ、ローマへと旅立ちます。
数十年後、成功してローマで暮らすトト(ディレクターズカット版では映画監督となっているのがわかります)。昔と違って映画を愛することはなくなってしまった彼のもとに、アルフレッドが亡くなったと連絡が入ります。
約三十年ぶりに、トトはシチリアに戻ることに。そこでトトはアルフレッドの棺を運び、そして老朽化した教会――映画館「ニュー・シネマ・パラダイス」の取り壊しを目の当たりにします。もう、ただ映画が好きだった昔には戻れないという惜別感。そう思っているトトに、アルフレッドの遺品が手渡されます。それは、一本のフィルム。
村での想い出を胸にしまってローマへと戻り、トトは一人でそのフィルムを上映し始めます。そのフィルムは、アルフレッドが昔カットしていたキスシーンのラッシュ。様々なキスシーンを見ながら昔を回帰し、映画は幕を閉じます。
ノスタルジア。
この映画を見て感じたのは、そういう感覚でした。
とても懐かしくて、とても暖かくて……映画を見ている人たちを映画で見ているっていうのはちょっと変な感覚でしたけど、昔あった「みんなでわいわい楽しむ」というのが見られて、まず感じたのはやっぱり「懐かしさ」。
初恋のほろ苦さや、自分を導いてくれた人との出会いと別れ。自分の大事なものを無くしていく寂しさ。その全てが、いつか想い出になって自分の心の中にしまわれていく……まだ自分には、それを感じるには早すぎたと思っています。
よく「見るのがあと数年早ければ」っていう映画がありますけど、この映画の場合は「見るのがあと数十年遅ければ」っていうほど、壮年期になってから見ていたほうがもっと心に感じるものがあったんじゃないかと思いました。
でも、子供のころに感じたこととか、出会った人たちのこと……そういうのを思い出せたのは、とってもよかったです。
この作品に流れている音楽は、一度聴けば「ああ、あれね」とわかるほど、様々なCMでかかっています。今現在では、JTのたばこのCMでかかってますね。弦楽器のワルツのようなメロディーはとっても親しみやすくて、耳に残るものです。
タイトルは「初恋」。トトの回想シーンで主に流れるのですが、とても優しく、暖かい音楽です。ラストシーンもこの曲なのですが、作品を振り返るにはいい選曲だったのではないでしょうか。
懐かしさや楽しさで感動できて、じっくりと安心して見れる映画。最近では少ないタイプの映画ですけど、それが名作たる所以なのかもしれません。
映画というものや、人々との出会いなどを振り返られる……確かに名作だと思います。もしもう一度見る機会があるとしたら、その時は自分が中年になったときにでも……二十代にもう一度見るのは、ちょっと早すぎるかもしれないですから。