ワンダル・ワンダリング!
Wandal Wandering!
| 作 品 名 | 作 者 | 出 版 社 | 価 格 |
| ワンダル・ワンダリング! 1〜4巻 | 迎 夏生 | メディアワークス/主婦の友社 | 1〜3巻 560円 4巻 590円 |
| ワンダル・ワンダリング! 外伝 | 570円+税 | ||
| 迎 夏生画集Vol.2 ワンダル・ワンダリング! | 2710円) |
いつの間にか、この世界に引き込まれてました。
不思議なことに、自分はの本・第1巻を買った記憶がないんですね〜(^^; 別の本を購入したつもりなのに、気が付いたら手にしていたというか....ちゃんと作品名もレシートに載っていますし、またまたMy直感くんがブレイクしてくれたようです(笑)。
迎先生の絵はフォーチュンクエスト時代から知っていたのですが、つい最近まではマンガを書いているともつゆ知らず、ガオで見かけて「おおっ!?」と驚いたぐらいです。
そして、この作品を手にとっていつのまにか電車に乗って、ぱらっと開いたときに「あ、楽しそう」という印象がまず一つ。さらにその時には「多分ドタバタものだろうな〜」っていう印象もまた....(笑) んで、帰りの地元の駅で全巻ババババッ!!!!っと購入しちゃいました'(だから貧乏なんだな、自分^^;)。
速読な自分にしては、全て読むのに3日間くらいと長くかかりました。それだけじっくりと読めるストーリーです。この物語を全て読んだ後、思わず言ったこと。
「あぁぁぁぁぁっ!! なんで俺こないに涙もろいんやぁ!?!?!?!?」
....ここから察せると思いますが(笑)、このストーリーにも感動しました。それと、充実感と言うか、爽快感というか....そういう風な感じも一緒にしたんです。
それでは、第1巻程度までのあらすじを....
「周囲を山々に囲まれた、のどかで平和な国・ワノクニ。そこには先のとがった大きな耳を持つ人々が静かに暮らしていた。ある日、ワノクニのチョボリに住むタロサクの家に、突然小さな子供が舞い込んでくる。名前はワンダル。
なんとワンダルは、高度な文明を持ち、自分たち以外の種族を皆殺しにするという、恐怖の種族・マルミミ族だったのだ。さらに大きくなるとんでもないヤツだということも判明。街の人々は恐怖に打ち震えた。
しかしワンダルは、その素直で明るい性格で人々を魅了し、タロサクと一緒に住むことになる。無理矢理押しつけられたようで初めは疎ましく思っていたタロサクも、次第にワンダルをかけがえのない家族と思うように....」
実際、このあたりまではずっとドタバタかな〜っと思いました。見ていてこっちも思わず笑っちゃうほど。ただ、2巻以降からはほのぼの〜っとした面も出てきて「あ、これ面白い!!」と本気に思えるようになりました。3巻てはほのぼのとドタバタが交錯していたけど、そのドタバタもなんだかほのぼのとした感じでいました・4巻の後半ではあまりもの急展開でラストに近づくにつれ切なくなって、だけど最後にまたほのぼのとしていて、そこでほっとさせてくれました。で、気づいたら上の言葉を言っていたんですね。
読み終わった時には、涙と一緒に、なんだかホッとできた....今までに見たことのないファンタジー作品だったんです。それまでは、ファンタジーは勧善懲悪が一番面白いと考えていたから....
初めて、出会えて本当に良かったと思えたファンタジー作品でした。< 優しい人々 >
このマンガの主人公は、タロサクとワンダルの二人。この二人、そして近所の人々たちの回りではいろんなコトが起きていきます。例えばワンダルがやってきたときなんかは街がパニックになったりしながらも、ワンダルがただの元気でやんちゃな子と知るや、まわりの人の目は穏やかなものに変わっていって友達になったりと、結構気優しい人たちばかり(もちろん中には疎ましく思ってたりする人もいますけど)。そんな人たちが見ていて好きになりました。
タロサクはというと、最初の方はワンダルの世話が面倒だからかそっけない態度を示すんですけど、それがどんどん変わってくる。だんだんワンダルのことを家族の一員と認めはじめ、絵に協力してもらったり、逆にワンダルのことをしっかり見守ったりと、いい人にかわっていきます。最終的には、ワンダルのことを守るように....
そしてワンダル。プロローグでちょっとしたモノローグがあるんですけど、そのときワンダルの少し暗い過去が見られます。ワンダルの過去というのはおいおい明らかにはなっていきますが、その過去のせいか、ワンダルは怒りをあらわにすると突然青年に成長してしまい、もともと怪力だったのがさらに怪力になってしまって、手がつけられなくなるんです....ま、感情が静まれば元の子供の姿に戻るんですけどね....それが後々すごい大変なことに....
ワンダルははた目で見れば元気でワンパクなお子さまですが、実は結構繊細な面もあって、ちょっとばかし切なくなるお話もあったり、最終的には上にある言葉を発してしまうほどになったり(笑)。特に2巻からは著しい変化もありますね。最終話なんてほんっと切なくなりました。まあ、基本的にワンダルは元気印なんですけど。見ていて幸せになれます(^^< 今にない景色、今にない街、今にない空 >
よく目に付くのが、街の風景やフィールド空間の景色。当たり前なコトで、このコミックはほとんどモノクロですけど、その割には色彩感があるような感じがするんですね。そんな中でも個人的に一番好きなのが、空。トーンのケズリとかで表現していて、そのカットワークの上手さにはほれぼれしちゃいます。本当に綺麗なんですよ!! それに、あと最後のとっておき....ラストシーンの森の中の木漏れ日とかは見ていてゾクゾクっとしました。いやあ、あれはすごい表現でした。
不思議な動物たちもいます。おうむのように人の言った言葉を繰り返ししゃっべったりする変な動物や、「色の心臓」っていう色素の入った実を食べて自らの色を変える龍とか....普通のファンタジーとかと違って、この動物たちもみんなほのぼのしてます(しかもなんだかかわいい)。そういう動物たちとの、ワンダルたちの交流も面白いですよ。< ファンタジーというあり方 >
迎先生自身は、「この作品にはファンタジーといううたい文句が付けられていますが、あまりファンタジーではありませんね。」と言っていますが、自分は「え? ちょっと違うんじゃないですか?」と思いました。
ドラゴンクエスト以来、最近のファンタジー=殺伐とした世界という定義が一部にありますけど、自分は全くそうじゃないと思うんですよ。広義の意味でファンタジーを見ると、ほのぼのしたものだってありますし、またドタバタだってあります。もちろん魔物討伐とかそういうのじゃなくて。いい例が、迎先生が深沢美潮先生とタッグを組んで書いている「フォーチュンクエスト」とか、あと中村うさぎ師匠の「極道くん漫遊記」とかです。FQはドタバタ&ほのぼのとかで、笑わせてくれたり楽しくさせてくれたり、極道くんは「おいおい」とか「この野郎」とかツッコミを入れたくなるほどの外道ぶりを見せてくれたり。んで、これらはファンタジーの冒険モノでありながら、ほとんど暗い面がありません。
今のファンタジーには、勧善懲悪とかのワンパターンものや、暗いモノが多い....そんな中でこういう明るいファンタジーが見れたことが、すごい嬉しかったです。特にワンダルは、今でも評価されるべき作品だと思いますね。
一つのファンタジーの在り方として。
大変嬉しいことに、連載終了2年半を経てから今年の1月から「ガオ!」誌で、短期集中連載という形をとって「外伝」が発表されました。内容としては連載終了後のアフターストーリーや、タロサクの初恋等なのですが、これまた素晴らしい物語でした。詳しいストーリーはやはりここでは明かせませんが、とにかく1〜4巻、そして4月中旬に発売する外伝を購入してみて下さい。できることならば、画集も見てみてください。ほのぼのとして、暖かい世界がそこには広がってます。
きっと、心が温かくなれるはずです。1998.06.08