同人ソフト温故知新 番外編その1
今回まで2回、同人ソフトを紹介していきましたが、「悟り」以外のソフトは発表当時、同人誌即売会でも頒布されていました。また、同人誌即売会とは趣を異とした同人ソフト専門イベント「パソケット」というのもあり、盛況時は月1回開催で毎回混雑するようなイベントでした。
パソケットを開催していたのは、現在「コミックライブ」「おでかけライブ」などを手がけているスタジオYOUで、発祥の時期は80年代後半と言われています。会場としては日本各地、特に東京・名古屋・大阪・福岡では多く行われていたようです。関東での主だった会場としては、晴海国際見本市会場・南館、浦和コルソ、東京文具共和会館などが挙げられ、比較的小さめな会場での開催が多かったように思われます。
「思われます」というのは理由がありまして――実はパソケット、一昨年に終了してしまったらしいのです。私自身、パソケットから遠ざかって数年経過していますし、雑誌で見かけて「ああ、まだやってるんだなぁ」という程度で行くことはなかったもので、終了してしまったと知った時には、さすがに寂寥感が募りました。
パソケットというのは、同人誌即売会のようにスペースを使用し、電源も使用可能でパソコン本体(もちろんノートだけではなく、モニタ込みのデスクトップ機)を持ち込んだり、はんだごてを持ち込んで同人ハードをその場で制作したり、果てには持ち込んだパソコンをバラして改造(って、もしかしたら壊れてたのかもしれませんが……)したり、コミケで言うスケブの代わりに、その場でプログラミングして来た人に渡している人までいたりして、一種独特の空気が流れていました。
頒布されていたソフトも、現在のようにエロゲがあればシューティングもあり、SLGもあって大作RPGもあったりと、バラエティに事欠かず。また100円ディスクやLED自動点滅器などの同人ハードなども頒布されていたりして、もう何でもありの世界でした。
自分自身も91年、浦和コルソホールで開催されたパソケットに行ったことがあるのですが、こぢんまりとしていながらも、異様な熱気に包まれていたことを今でも覚えています。当時はまだ高級音源(今でもやはりいい音源ですが)とされていたPC-8801のサウンドボードIIで様々なゲーム音楽を打ち込み、頒布していたり、回転・縮小・拡大機能がないPC-9801でそのどれをも兼ね備えたレースゲームを出していたり(確か音楽がイースのものだったはず)(※1)、当時小6だった自分にとっては、まるでおもちゃの世界に迷い込んだような気分で、とにかくいろいろなソフトを試し歩いたような覚えがあります。引っ越したときにソフトをいくつか紛失してしまいましたが、今でもX68000用のコナミゲームミュージックボックスは大事にケースにしまってあります。
それからもパソケットには晴海などに数回行きましたが、高校受験の時期とともに足が遠のいてしまいました。
そして、先日知ったパソケットの終了。「惜しいな」という気持ちとともに「仕方ない」という気持ちが、心の中にあるのが正直なところです。というのも、今現在は同人ショップで委託できる機会が増えて、ネット媒体でも簡単に発表できますし、多くのサークルがコミケなどの大イベントに新作をぶつけている状態ですから、パソケの存在も薄れつつあったのかもしれません。ただ、サークルの方と直接話したりする機会が激減してしまったのは、パソケットが終了したことによる一番の損失だと思われます。
無くなってしまったのは確かに残念ではありますが、これも時の流れと、自主流通の発展による淘汰なのかもしれません。ともあれ、同人ソフトというジャンルは今現在も発展し続けているわけですし、その礎となったパソケットの功績は大きいと思われます。
ありがとう。そしてさようなら。パソケット。※1 回転・縮小・拡大機能がない――
この件に関して情報があり思い出したのですが、こちらのソフトは「Outer Formula」というKUNI-Softさんが制作された同人ソフトで、音楽はオリジナル、ゲームはF-ZER●という形態でした。情報を教えてくださった加野瀬未友さん、ありがとうございました。