同人ソフト温故知新 Vol.1


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No.1 「Infinitia」
機種 PC-8801mkIISR以降
初回頒布 91.8/16(名古屋パソケット)
サークル ACTIVE GAMERS


オープニング画面より。
小学生の巻島エリが主人公。


フィールド画面より。
「英雄伝説II」系統の画面構成ですね。


町中のワンシーン。
町の人々の話にはしっかり耳を傾けましょう。

(c) 1991 ACTIVE GAMERS All rights reserved.

 まず最初に紹介するソフトは、ホビーマシンとして一大勢力を築いていたPC-8801の同人ソフト「Infinitia」です。このゲームが発売した当時、シェアとしてはPC-9801に逆転されていた頃だと思いますが、同人ソフトではまだまだ全盛期の時代でした。私がパソケットに初めて行った時期もこの頃でしたが、88用の音楽ディスクやゲームなどがたくさん展示してあったのを覚えています。
 さて、ゲームの紹介に移りますが、このゲームはインターフェイスとしてはRPGです。しかし、戦闘シーンなどは無く、フィールドを歩くADVといった感じでサクサクプレイできます(「かわいそう物語」(※1)や「オールド・ビレッジ・ストーリー」(※2)と同系統ですね)。
 ストーリーは「ちょっとオンチな女の子・巻島エリが、歌の発表会前日に椎屋という少年からある本を貸して貰う。寝る前にその本を読み始めたエリだったが、まばゆい光とともに本の中からテポと名乗る動物が出てきて『歌が奪われてしまった、私たちの世界を助けてください』とエリに懇願する。エリが返事をする間も無く、テポは異世界へとエリを連れ去ってしまう……」というものです。召還モノは今となってはよくあるものですが、当時はまだ少なかったかと思われます。
#塚本裕美子・とまとあき作「わたしの王子様」ぐらいかな?

 作品の雰囲気は軽快そのもので「バカにバカと言って何が悪い! このバカ!」という子供っぽいセリフが出てきたり、事件が起きてもエリ自身がその事件に進んで飛び込んでいったり、元気いっぱいの物語です。しかし「麻薬漬けの国」というのが出てきたりして、時折現実に引き戻されてしまったり、硬軟自在なシナリオだなと感じました。一通りプレイし、クリアしてみたのですが、思わずニコニコしてしまうほど、楽しい物語でした。ベタなギャグとか、当時の機種ネタ(もっと古いの含む)が出てきたりしていますが、それを差し引いても人物の会話は楽しいものです。また、各章の間にいろいろなナレーションや言葉が出てくるのですが、その文も印象的なものがあり、中でも「語るものはいくらでもある。だが、語らないのも愛である。」というものは強く心に残りました。
 ある程度先読み出来てしまう展開もありましたが、それもこのゲームの味ですね。良い意味で、小学校時代に読んでいたような児童文学を思い出しました。
 そして、このゲームの売りはなんと言っても「音楽」。PC-8801MkIIのサウンド機能は、バージョン1でFM音源3音3音色同時発生、SSG音源3音というもので、バージョン2でFM音源6和音、リズム音源6和音(以上ステレオ)、SSG音源3和音(モノラル)、デジタルサンプリング機能を搭載しており、今現在のマシンで普及しているようなMIDIやWAVEのような音源はありませんが、自分で好きなように音をカスタマイズできるのが売りでした。このゲームはその音源をフル活用して、軽快な、そして優しい音楽が全編に流れます。個人的には、第5章の古代遺跡で流れる音楽の優しさが好きです。ゲーム自体「歌」をテーマにしているだけあって、やはりしっかり作り込んでいるようです。
 ゲーム自体は4時間程度で終わる短いものですが、このゲームの場合は短すぎず、そして長すぎずといった感じで、気軽に楽しめると思います。今現在、このゲームは「ACTIVE GAMERS」さんのHPにてダウンロードが可能です。プレイ環境が整っている方は、是非ともプレイしてみてください。

※「ACTIVE GAMERS」さんでは、他にもいろいろなPC-8801系の同人ソフトが無償提供されています。今後もこのコンテンツでは、機会を見て「ACTIVE GAMERS」さんのゲームを紹介していきたいと思います。

No..2 「悟り」
機種 X680x0シリーズ
初回頒布 91.1/9(ネット配布)
制作者 流体力学研究所


タイトル画面。
レベルの他に弾の種類なども選べ、
リプレイのセーブなども可能です。

ゲーム画面@Lv.1
囲まれているように見えますが、
実はまだまだ序の口だったり。

ゲーム画面@Lv.6
レベルが高くなると弾幕が強くなり、
レーザーや追尾ミサイルまで……

ゲーム画面@Lv.J(17)
もう何が何だかな状態。
これがクリアできたら神。
(c) 1991 流体力学研究所 All rights reserved.

 続いて、16ビット時代の名機、X68000のフリーソフトから「悟り」です。このソフトは当時、草の根パソコン通信(モデムと電話回線を用い、ホスト機のパソコンにネットで接続する――いわば「独自ドメインにネット接続する」という感じです)で広まった作品で、様々な雑誌で紹介されていました。
 一見するとシューティングゲームに見えると思いますが、このゲームには「倒すべき敵」「撃つべき武器」が存在せず、ただ延々と飛んでくる弾を避けてくるだけ――いわば「弾幕回避養成ギブス」なのです。
 弾幕レベルは17段階に分かれ、通常弾の他にレーザービーム、追尾ミサイル、分裂弾などの特殊攻撃があり、また通常弾も丸・四角の大小2種類、合計4つから初期設定で選べたりと至れり尽くせり状態。また、自機のスピードも10段階から選べ、様々な縦スクロールシューティングゲームのレベルに合わせることも可能です。さらにはリプレイ機能やセーブ機能、プレイ内での弾幕パターンの統一なども出来、かなり自由度が高い選択できます。
 実際Lv.1をプレイしてみると「簡単簡単」と思うのですが、レベルが上がるごとに弾幕のレベルも段違いになり、特殊攻撃になると通常スピードではなんとかかすめるのが精一杯で、Lv.Jでは「本当にこんなん耐えられるのがいるのか」という状態になります。しかし、悔しくてまたプレイしたくなるという中毒性まで秘めているのがこのゲームの特徴。弾が撃てない分だけイライラも増加しますが、どこまで緊張の糸を切らさずに済むか、がこのゲームのポイントですね。

 このゲーム自体は、現在作者の方が運営されているサイトで入手することが出来、中には「ダライアス」のボス戦シミュレーターまで存在します。こういったソフトを動作させられるエミューレーターも、現在は実機のBIOSがシャープによりフリー公開(条件付き)されており、かなり簡単に入手できるので、シューターの方は一度プレイしてみることをおすすめします。


(※1) 「かわいそう物語」
 1987年、システムソフト(現・システムソフトアルファ)の作品。当時存在していた「BEEP!」という雑誌の1コーナー「バグ猫たいにゃん」に出ていたキャラが、非道の限りを尽くす精霊の神々を倒しに行くという、トップビューRPG移動形式のADV。男の子だと思っていたたいにゃんが実は女の子だったり、TINYANが実は美少年だったりと、当時小学2年生の自分はドびっくりさせられまくりでした。ゲーム内容も当時はわかりにくかったのですが、中学生になってからプレイしてみると、本当に「かわいそう」な物語だったという印象が……なお、今現在このソフトは「ソフトウェアEGG」にて300円で販売されており、Win環境であれば誰でもプレイできます。
 また、たいにゃん氏の近作として「戦国TURB」などがあります。

(※2) 「オールド・ビレッジ・ストーリー」

 1987年、エニックスの作品。完全オリジナルのトップビューRPG移動形式のADVで、戦闘シーンと言える物はほとんどなく、じっくりとストーリーを楽しむタイプのゲームでした。主人公の少年がいろいろな所を旅していく、いわゆる「おつかいアドベンチャー」。ほのぼのした村を舞台にしつつも、「約束」や「待つ」といった要素が盛り込まれていて、そんな中で事件が起こり、悲しい出来事も……途中で主人公も変わったりしますが、ほのぼのと、そして時折切ない雰囲気は最後まで途切れることなく、当時のエニックスらしいしっかりした作品に仕上がっています。

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